実測の大切さ 

庭やエクステリアをプランするときは、頭の中にその空間を作りながら、あっちこっちから眺めつつ、バランスや納まりを考えます。でも本来空間とは、そんな小さな頭の中だけでは捉えられないもの。光や風や周りの景色、様々な人々が絡んできます。みずみずしくてどんな可能性もある、それ自体生き物のような存在です。

でも人が作る以上は、設計者は空間を数字で表さなければなりません。寸法というのは本当に大事です。こんな雰囲気というのは、自分ではわかっているつもりでも、実際図面に表すとなると、体感しなければ説明ができないと思っています。カタログに載っている商材なら組み合わせてこの位というのが大体わかりますが、もっと大きなものになるとそう簡単ではありません。

いま取り組んでいるお庭はとても広いので、芝の築山をいくつか作り、地形に変化を出そうと考えています。子供さんたちが登ったり降りたり、駆け回ることもできるような、楽しい空間にしたいのです。

時間と予算が無限にあって、職人さんも体力と忍耐が無限にある場合は、その場で何度も試行錯誤して作れるのでしょうが、実際の現場でそんなことを言える訳はないのです。土量計算して見積りもせねばならないので、やはり最初からほぼ正確な姿を数量化しないと。

図面に表すために、実際の大きさを感覚と身体で把握するために、その場にあう築山にするために、いくつかサンプルを実測をしてきました。

 

好きな築山のある某所。ひとりスケールを当てては記録。

 

大体これくらいかなと頭で考えている寸法と、実際これくらいかなという実物の寸法は、結構違いました(-.-;) やっぱり測ってみなければわかりませんね。測りながら手で仮の築山を作り景色に重ねてみたりして、はたから見ると、かなり変な人。

出掛けた先で素敵なモノに出会ったら、自分の身体をモノサシにして測ったりもします。例えば私の手のひらを広げると、親指の先から小指先まで20cmです。また両手を広げた端から端までが自分の身長と同じ寸法だそうです。歩幅とか色々なものを駆使して測ります。小さなスケールを携帯していくときもあります。

むかし、ディアガーデンを立ち上げた頃に出会った女性建築士さんが「実測は大事よ。私も建具をデザインするときには実際いろいろ測ってみるの。」という風なことをおっしゃっていました。そして庭を設計するならと、こんな本を紹介していただきました。

 

「建築と庭」西澤文隆「実測図」集(建築資料研究社)

 

薄っぺらい本で写真もカラーではないのに税別3,800円もして!ひえーっと思ったけれど、お話に感銘を受けたので、すぐ買いました。実際内容を見ると、安すぎると思うほどです。建築家の西澤文隆氏(1915年~1986年)が生涯をかけて遺してくれた寸法です。

西澤氏はここ滋賀県(愛知郡秦荘町 現在は愛荘町となっています)生まれの方でした。この本には厳島神社や桂離宮などの文化遺産の建築と庭園の平面図断面図などがたくさん掲載されています。鉛筆で描かれた図面はとても美しく見惚れてしまいます。プロの方におすすめの本です。

実測とは、実際に磁石やスケールを使って測量するのですが、対象物の完成すなわちそれを実際にデザインして作った人の感性が、直に体に伝わってきます。空気に浸り、光に包まれながら、プランや断面で表せない本当の空間がわかってきます。(本文内より)

測りながら空間を味わう・・・って私も少しわかる気がします。いつかこの本が活かせる自分になりたいな・・・なんて大それたことを夢想しながら、まずは目の前の仕事を頑張ろうと思います。

 

 

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください