タネの未来

最近読んだ本の中から、1冊ご紹介したいと思います。

 

 

以前のこのブログでも、タネについてちらっと書いたことがあります。→こぼれ種の強さのワケ

2分ほどで読めるのでご一読いただければと思います。

で、この本。庭作りにおいてタネはいつも興味が尽きない対象で、何気なく手に取った一冊でした。

読むのには2時間程。タネについて現在世界や日本で何が起こっているかが、とても丁寧に分かりやすく書かれてあります。また、著者の小林宙くん(2019年発行。その時なんと高校2年生!)がタネの世界をどう変えていきたいか?何が出来るのか?考えた結果、伝統野菜のタネを流通させるために起業することを決意し、それを実行に移す過程が、彼の生い立ちと共に詳しく書かれてあります。

こぼれ種のブログで取り上げたF1の種、現在販売されているすべての野菜の9割を占めているそうです。ということは、タネは既に農家の手からほぼ離れてしまっており、種苗会社から買っているというのが現状なのですね。

更に遺伝子組み換え食品(GM品種という。是非この言葉も覚えてください)の実情は、思った以上に厄介なことがわかります。これを読むまで知りませんでした。

GM作物は国内でも作られていますが、商品として市場には出てきていません。健康被害を懸念する声が多く、それを押してまで販売するにはリスクが大きいからです。でも社会の風潮が変わったら一気に出回る可能性もあるということです。もしもそうなれば、GMのタネも同じように普及していくだろうと小林君は言います。

GMのタネはF1のタネと違い2代目も同じ出来栄えの作物が出来るよう操作できます。更に怖いのはある特定の農薬しか効かないというような操作も出来てしまいます。営利に重きを置く種苗会社は、次世代も同じものが出来るタネは売れないので、必ず必要になる高い農薬をセットで売って儲けるという策に出ました。GMのタネについては、このパッケージ売りが主流というのですから、なんとも言えません。

GMのタネで、食品アレルギーを起こさないような野菜が作れたり、栄養補助食品的な役割を加えたり、将来危惧される環境変化に負けない作物作りも可能になる、その反面、非常に危険なタネが実際に作られていることを知りました。

そんなGMのタネは見かけ普通のタネと変わらないので、農家さんが混乱するのは必至です。隣の畑でGM野菜を作れば花粉が飛んで、GMじゃない野菜と自然に交配してしまうことも心配されています。GMのタネで出来たかどうかわからない野菜の表示責任はどうなるのでしょう?

こういった問題を解決できないうちは、国内ではまだ当分GMのタネは普及しないだろうと小林君は見ています。

しかし、GM作物はスーパーで見かけることはなくとも、私達は既に多く口にしてしまっています。日本は世界最大のGM作物輸入国らしいのです。一部の加工食品や植物油、しょうゆ、また飼料など既に多く流通している、という事実をもっと知らなければいけませんね。

 

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タネの公益性を守る法律である種子法という法律があるのですが、それが2018年4月1日で廃止されています。主要作目である「米、麦、大豆」のタネの開発と管理を国が民間に開放しました。ひっそりと、という訳でもなかったのでしょうが、あまり関心が寄せられなかったと思います。それ以降、そういえばブランド米が多く出回ってきたような気がしますが。

主要作物についての管理を国が手放した以上、生産者や消費者は、よぼど真剣に向き合わなければなりません。小林君は企業によって独占されるかもしれないタネや農業の未来に不安を覚え、地方を回って伝統野菜のタネを集め流通させようとしています。

その真摯な思いや行動力、彼を支える周りの人々に、感動します。そこらへんは是非本を手に取って読んでみてください。

 

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もうひとつ、GM作物について、海外のドキュメンタリー映画をご紹介します。

たねと私の旅

米国やカナダに遺伝子組み換え(GM)の表示義務がないことを疑問に感じた一人のカナダ人女性が、10年の歳月をかけて記録したドキュメンタリー。
料理家でもある彼女が作る、数々の美味しそうな料理も必見です。

自主上映の映画なので、実はまだ予告しか見ていません。でも海外のGM事情が知れそうな映画だなと思います。

 

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小さなタネの大きな問題。

自分は何が出来るのかと改めて考えさせられます。

ひとまずは現状を知ること、そして選ぶことが大事かと思います。

映画「たねと私の旅」の中で『私達は有機的な小規模農業に戻るべきです』という言葉が印象的だったのですが、

小麦や米は無理だけど、自分が食べる野菜は数種でもいいから自分で育てる。それが当たり前な日本になれば、タネの問題は良い方向に向きそうな気がします。

そんなコンセプトで始める庭作りもいいと思う。

 

 

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