お庭改修工事の現場より

今週はあるお宅のお庭の改修工事をしています。

こちらは以前、庭木の剪定と伐採をご依頼いただいたお客様。植物が大変お好きな方で、雑草除けを兼ねて色々とご自分で植えられていましたが、敷地が広く、手入れが追い付かない程蔓延ってしまいました。ご自分の体力気力も年々落ちてくることも心配で、将来はもっと出来なくなりそう、とのことでご相談いただいたのです。

それで、庭を縮小し、一部地面を舗装することになりました。

 

前庭の一部。お客様が植えられた植物と雑草が交じり合い、蔓延っている状態。

 

庭仕事には、好きな植物を育てるための作業と、そうではない植物(雑草)を取り除く2パターンの作業があります。皮肉なもので、水も肥料もやらない雑草の方がよく育ったりしますよね。それで、不本意ながらそちらの手入れに時間を取られ疲れてしまうのです。

庭仕事を純粋に楽しむためには、しなくてもいい作業を減らすことが重要。年を重ねると尚更です。

初期投資はかかりますが、土の面積を枠を作って限定して、それ以外は「植物に馴染む」舗装をすると後々ラクです。例えば石やレンガを敷き詰めたり、透水性のある三和土風の舗装などがおすすめです。

砂利を敷き詰める場合は、その下に厚い防草シートを仕込むとよいのですが、それでも砂利の間に飛んできた種が落ちて発芽してしまうので、除草する手間は免れません。

今回のお客様は三和土風の舗装をご希望されました。来週施工します。

 

同じ場所。飛石と化粧砂利を一旦除けて除草。花壇スペースは枠を作って限定します。

 

私も毎日現場に通って現場監督を務めています。

一日中いる訳ではありませんが、ただ図面を持って職人さんに指示をするだけ、というのはどうも性に合わなくて、空いた時間は職人さんの手元をしたり掃除をしたりして、一緒に作っています。泥だらけになりますがそれも悪くない。だって庭では身体を動かす方が自然だもの。

現場にいると、設計しているときは2次元の架空の世界だったのが、どんどん3次元化していく様がリアルタイムで感じられてワクワクします。完成してしまったら見えなくなる部分もこの目で見て写真に納め、お客様に安心材料として報告もします。

上の画像の足は私の足。地下足袋って履いてみると本当に庭作りにはピッタリ。軽くて歩きやすいの。湿った泥だとラバーブーツなんですけど。

 

ILSE JACOBSENのレースアップラバーブーツを愛用しています。

 

職人さんいわく「設計屋さんで地下足袋を履いて現場に来る人は珍しい」らしいです。

へぇーそうなんだ。地下足袋、カッコいいと思うんだけどなぁ。

 

 

坪庭作庭物語3-竹細工と照明

京都市山科区にあるパスタ&甘味「ゆる音家」さんでの作庭記を3回に分けて書いています。

先週9日から改修工事に着手、13日に無事お引渡しが済みました。しかし、まぁ。あの時の暑さったら!今週の涼しさからは想像できない猛暑日続きでした。たった1週間しか違わないのに、体感温度が違い過ぎて、随分と時間が経ったような気がします。

 

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さて、今日は最終回。竹細工と照明について、です。

初めに竹細工を。竹製品と書くべきか迷ったけれど、手仕事なのでやはり細工かなと思いまして。

このお庭用に、ディアガーデンの近くにある老舗竹材店「(有)竹松」さんにオーダーして、簾と縁先手水鉢用の柄杓セットを作っていただきました。自社で竹林を育て、伐採から製品製造、販売、現場施工まで一貫したサービスを提供されている今となっては稀有な会社様です。私のお願いする仕事は専ら小さなものばかり、でもニコニコと請けてピシーッと仕上げて下さるの。ホント頼りになる存在です。

簾は町家では必須アイテムと申しましょうか。夏の間だけでなく、プライバシーを保ったり建築の装飾として年中吊るされる場合もあります。ゆる音やさんは常設でとのご希望で、竹松さんに相談しましたら、蒲で織った「蒲芯」の簾を薦めてくださいました。

まずは、Before & After の画像を。

比べると見え方が一変したように感じますが、如何でしょう。

 

改修前の様子。客席に西日が入って眩しいということで簾を吊り下げておられました。古くなっていたので取り換えを提案しました。

 

改修後。室内から見る。新しく蒲芯の簾を吊ったところです。シャープですっきりとしたラインのお陰で、庭がより端正な雰囲気に見えます。

 

蒲芯の簾は、よくある葭の簾とは違って、空洞はなく中まで繊維が詰まっています。ゆえにとても丈夫で遮光性や断熱性に優れています。節がないので見た目にスッキリとしていますし、色も柔らかなベージュで品がいい。ぺらんとした感じではないので常設でも違和感はないです。

ただ、中が空洞ではないので、湿気には弱くカビが生えやすいというデメリットもあります。梅雨や台風などの時は巻いておくといいでしょう。

 

簾を場に合うようオーダーメイド。色目が柔らかいです。

 

日除けの役目を果たせるように、室内から確認しつつ何度も修正しながら吊りました。ジャストな位置はここ!

 

軒下には、垂木に竹竿を掛けられるようなものが既に打ち付けてありましたが、そこにそのまま吊ったのでは、上手く機能しないのです。

せっかくオーダーメイドで作ったのに、ちょっとした違いで眩しかったら悔しいじゃありませんか。なので、ちょうど西日が照り付ける時間帯に客席に座ってみて、もろもろ微調整しながら吊りました。

 

縁先手水鉢に作ってもらった手酌を置きました。ピッタリです。実際に使う訳ではないけれど、あった方が雰囲気出るよね~。

 

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次は照明について。

こちらのお店「ゆる音家」さん、営業時間は夜9時までです。お庭は元々、投光器を上手く利用してライトアップされていましたが、折角の改修工事のタイミングです。新たにライティング計画もご提案しました。

考えましたのは灯籠の存在。2基あるのですが、その火袋に灯さずしてどこに灯すんねん!ってね。前々から、いろんなお庭で火袋に灯さずに灯籠全体に照明を当てているのを見て、絶対おかしいと思っていたの。だって照明器具に照明を当てているんですもの、変ですよね。それで、灯籠を主役にするライティング計画を立てました。

ところが実際探してみると、火袋に入れられる照明器具はなかなか見つかりません。唯一手に入りそうだったのがタカショーさんの製品。それが低電圧12Vの商品だったので、他の照明もそれで統一することにしました。

火袋に入る小さな照明は、見えても一向に構わないデザインではありますが、やはり窓にシェードをかけた方がより雰囲気が良くなると思い作ることにしました。それで、当然職人さんにやってもらえるもんだと思っていると「それはマブチさんの仕事やろ」とあっさりと蹴られてしまいました。軽作業だからそれ位やりなって感じで。(´;ω;`)ウゥ・・・

「仕方がない。いっちょ頑張るか」と、材料を揃え持っていきました。枠の4隅の精度が自分では出せなかったので、お店の内装工事に来られていた大工さんに頼んで、木をスパッと切ってもらい(忙しいところ無理くり。優しい方で嫌な顔せずやって下さった。有難うございます)あとはちょこちょこ削って、何とか出来ました。

 

木枠を寸法通り作ったのはいいけれど、灯籠はそもそも石なので地が結構ボコボコ。合わせるために掘っているところ。

 

半透明のポリプロピレンを切ってタッカーで留めたら出来上がり。

 

火袋の窓に押し込こむ。上手くはまってくれた。格子も作れたら良かったけれどそこまで根気がなく。でも照明も点いたらいい感じ~。

 

トランスです。既存の外部コンセントが庭の近くにあり上手く設置できました。このトランスは照度センサー内臓なので、点灯や消灯の調整が出来る優れものです。

 

ライティングも微調整が必要です。日が暮れるのを待って照明の角度チェックをしました。

いかに照らすか、よりも、いかに美しい明暗を作るか?いかに綺麗な影を作るか?が意外と大事です。とはいえ、灯籠の場合、暗い所で灯るとちょっと怖い感じがするので、特にこちらのお店の大多数の客層である若い女性にはそう感じる気がして、ベースライトを明るめにしました。そして影は部分的に作って奥行も出したつもり。

下の画像は、まだ調整の途中に撮ったものですが、灯籠の灯りってこんな感じです。

 

灯籠が本来の役割を果たしています。LEDですが電球光でしかも時々揺れるよう作られているので蝋燭っぽいです。その他に全体をふんわり照らすためのベースライトを2基仕込んでいます。

 

3回にわたってお送りしました作庭物語。物語なだけに、結構ボリューミーな内容になってしまいました。こんなに長くて、まともに読んでくれている方はいるんだろうか???画像を見ていただくだけでも嬉しいです。

庭作りの裏側、こんなことを考えて作りましたって、お客様にも1から10までお話しないのですが。大体いつもこのような感じで、パートナーの造園屋さんはじめ、色々な方々のお力を借りて、私なりに思い入れたっぷりに作っています。

お庭が出来てからも、まずはメンテナンスの方法や照明器具の扱い方をお教えしたり。何か困ったことが起こりましたら駆けつける、ご相談に乗る、管理を丸ごと請け負うとか、親しくお付き合いが始まります。

庭は作庭4分守り6分といいます。要は今、私達はベースを整えたに過ぎません。これからが本当の庭作りなんです。

 

次回はブログではなく、Works(施工例)で、ブログ掲載した画像以外の、選りすぐりの画像をまとめて、お見せしようと思います。UP出来ましたらお知らせします。どうか引き続きご覧くださいませ。

 

 

坪庭作庭物語2-植栽

京都市山科区にある「ゆる音家」さんでの作庭記を3回に分けて書いています。先週9日から改修工事に着手、13日に無事お引渡しが済みました。

今日は2回目、植栽工事について。

まずは改修前の様子を↓

 

左奥がモチノキ、右奥にツバキ、右手前がシダレモミジ、そこここに実生の木々が育っています。

 

高い木塀に囲まれた幅2.7m奥行4m程の坪庭です。

元々植えられてあったのと思われるのはシダレモミジとツバキで、モチノキやナンテン他低木は実生かな?と想像され、どれも勢いよく育っていました。これまではオーナー様が剪定されていたそうで、どう整えたら良いのか判断がつかない場面もあったことでしょう。バランスと今後のお手入れのことも考慮して、モチノキとシダレモミジは残し、その他は思い切って伐採することをご提案しました。

木を処分するという行為は辛く、なかなかご自分では出来ません。私も木に対しては気の毒に思いますが、庭を良くするために決断を促すのも仕事です。その代わりといっては何ですが、切るときは前もって木と話をし、心を込めてお清めをさせていただいております。

 

さて、その残したモチノキのことですが。樹勢が強くなかなかの強者です。

伸び放題だったので、思い切って切り詰めさらに枝を透かしてもらいます。これだけで見違える程良くなりました。次に石組みをやり替えるために根元を囲んでいた石をはずすと、太い根がしっかりと地面をつかんでいました。樹勢が強いのはこの根張りのせいでは?と職人さんがおっしゃるくらい立派な根です。そこで、いくつかの根は切るとしても、太い根は思い切って見せるよう納めることにしました。

根の周りに苔を貼り、石を根が抱きこんだように据えてみると、まるで山に生えているような自然な感じになりました。この部分、物凄く気に入っています。

実生の木、切っても切っても生い茂る、持て余していた木が、どうでしょう?!堂々とした幹と根を魅せて、まさに主役に躍り出た感じ。私までもが何故か誇らしい気分です。

 

生命力溢れる根を見せることにしました。

 

横にかなり伸びていた根はどちらにせよ切れないし、石はそれに沿わせるようにしか据えられない。そのせいで延段が短くなってしまったけれど、これで良かったかなと。あるがままを生かすのもデザインです。

 

実は設計の段階で、モチノキの周りには石を据えないつもりだったのですが、根を表しで作ることまでは考えもしませんでした。

作りながら、あーでもないこーでもないと職人さんと話をして、状況にあわせてデザインを変えていく方が結果的に良くなることが多いです。だってそれがその庭の個性になるから。勿論お客様とお約束した所は勝手に変えられませんが。

それにその方が作り手も面白いと思うの。頭の中で考えただけの図面通りに作ったってしようがないんです。

そうして楽しんで笑いながら作った庭はいいオーラが出る気がするの。本当に。気持ちが植物にも伝わるからかな?

 

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さて、その他の植え込み。

坪庭はもともと茶道の露地の体裁を取り入れて作られましたが、広さが限られているので、露地が求める「市中の山居」といった風情に仕上げるのは難しいことです。でも出来るだけ自然に見えるように心掛け植物を配しました。

景石や飛び石・灯籠の傍に、まるで種が落ちて芽吹いたかのように、そしてそれらが自然に増えたかように植えていきます。石はそれだけでは厳しめに見えてしまいますが、植物が添うとなんと穏やかに見えることでしょう。

 

石に添わせるよう配置。ジャノヒゲはその線の美しさを見せたく細かく株分けして植付け。艶のある葉を持つヤブコウジ、ともに常緑です。

 

左のシモツケは落葉低木ですが合うと思ったので植えました。ヤブコウジはあちこちに。冬に赤い実を付けます。

 

露地の植物はモミジ以外は常緑植物を主として用います。派手な花、香りの強いものは用いないなど、いくつかセオリーがありますが、町家の場合はそこまでこだわらなくても良いかと思います。

こちらで元々育っていたハラン、ベニシダは移植。そして伐根したツバキの名残りとしてコンパクトに育つカンツバキを入れました。今まで赤い花を楽しんでおられたそうなので。無くなるとやっぱり寂しいものですものね。

これからは、より愛でやすいところで咲いてくれます。

 

雪見灯篭はここではちょっと異質な存在なので、シダレモモジで覆って主張しすぎないように。そして足元にカンツバキ。石とのバランスを見ながら緑を足していくと、庭に生気が満ちてきます。

 

仕上げにハイゴケを全体に貼りました。

ハイゴケはスギゴケやスナゴケよりも育てやすく、乾燥しても直ちに枯れることはありません。密なマット状になると雑草が生えにくくなります。

苔には植物の根にあたるものがなく仮根というもので石や土にへばりついています。植付け時はそれがないので目土を被せます。重しになり苔を動きにくくすると共に、乾燥から守るのです。

ですので、仕上がったばかりは、苔よりも目土の方が目立ってしまうのは仕方がないことです。数か月水を切らさないように育てると次第に青々としてきます。

 

ハイゴケを貼っていただいているところ。手前は既に目土が被せてあります。

微風が揺らす葉擦れの音、木漏れ日の光が苔の上で揺らぐ様、ほの暗く清浄感ある風情・・・。

そんな庭が、美味しい食事のひとときを、更に印象深くしてくれることを願います。

 

 

 

次回は、竹細工と照明について書きます。

庭の雰囲気を盛り上げる演出。最後まで手抜かりはありません。とても楽しくやらせていただきました。

 

 

坪庭作庭物語1-石組み

先週9日から作庭しておりました京都市山科区にある「ゆる音家」さんのお庭が完成しました。

ゆる音家さんは、風情ある町家でパスタや甘味がいただける女性に人気のお店です。内装を一部を直されるのに合わせて、坪庭の改修をご依頼くださいました。

オーナー様の掲載許可が下りましたので、今日からその作庭の様子を3回にわたってご紹介します。

作庭中は猛暑日続きで、職人さんにはご苦労を掛けましたが、とても丁寧な仕事をして下さったお陰で上手くまとまりました。そんなディアガーデンの庭作りをじっくりご覧いただこうと思います。よろしければお付き合いください。

  • 1回目:石組み
  • 2回目:植栽
  • 3回目:竹細工と照明

3回書き終えた頃に、ブログ掲載とは違う画像で施工例をUPしますので、そちらも是非ご覧くださいませ(^^

 

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さて、坪庭作庭物語1回目は、庭の骨格を作る石についてのあれこれ。

お庭は客席のある部屋に面する幅2.7m奥行4m程のミニマルな空間です。オーナー様のご希望は、石や灯籠・手水鉢などを出来るだけ生かして作り直して欲しいとのことでした。

そこで、手水鉢や灯籠はあるべきところに据え、更に日々のメンテナンスをやりやすくするために庭の中をスムーズに歩けるような石の使い方を提案しました。飛石や延段、霰こぼしなどは景色づくりにもなります。いわゆる用の美、ですね。

 

改修前の坪庭の様子。実生の木々がすくすくと育ち、手入れが追い付かない様子。手水鉢や灯籠もそれぞれ2つづつあり余白が少なめでした。

 

木塀に囲まれているので、資材の出し入れが大変でしたが、作業効率を優先し、除けられるものは全て一旦外に運び出すことに。

そしてある程度整理できたところで、奥の大き目の石から、順に据えていきます。

 

とにかく作業スペースがなく重機を入れるのも困難。2人でも動かせない大きさの石にはチェーンブロックが大活躍です。

 

主だった石はどのように使うか予め決めていましたが、それ以外は職人さんと相談しつつ、でもある程度はお任せでどんどん据えてもらいます。

これまで土留め石として使っていた石が沓脱石にぴったりだったり、何気なく置かれた石を役石に昇格させたり、使いようによってこんなにも違う表情を見せてくれるものかと驚きます。石を回してどこを見せるのか?次の石をどう添えるか?そういうことを考えるのが楽しいのです。

大変な作業ですがとてもワクワクします。

 

石組みを再構築。既存の石のほとんどを再利用して据え直しました。石の欠け(欠点)は植物でも補えます。後のことも考えて据えているの。出来上がると全てが染んでいい感じになりました。

 

据え直した沓脱石、前石、二番石。2番石は新しく入れた石です。犬走りは三和土風にし一二三石で飾りました。犬走りの端っこをまあるくして柔らかい感じにしています。

 

大きな石組みは力持ちの職人さんに頼り。でも小さな石を並べるのは「マブチさんの仕事な」と強引に振られます(^^;監修する立場とはいえ、私も何かしら手を動かさずにはいられない性分なので、そこは喜んで~。

小さな石というのは、三和土の模様の「一二三石」のことです。

一二三石とは、土間の表面に小石を一つ、二つ、三つとランダムに散りばめるもの。以前何かで見て(修学院離宮かな?)この可愛らしい模様は、女性のお客様の多いお店にピッタリじゃないかと思いご提案しましたら、オーナー様も賛成して下さって実現する運びとなりました。

土のスペースを少なくするご希望もあって広めに犬走りを打ち、それを三和土風にしてもらいました。本物の三和土は砂と石灰・にがりを混ぜたものを、何度かに分けて叩き固めますが、今回は工期が短いため効率よく作るために、パートナーの造園屋さんが白セメントに色粉を混ぜて作ることを提案してくださいました。前もって色々なパターンの配合で小さな試作品をご用意いただきまして、ここに一番合いそうな配合で打設しました。

三和土がほどよく固まりはじめたら、那智黒石を埋めていきます。修学院の場合は色石を並べているそうですが、私は黒一色にしました。並べ方はほとんど直観というか、手の赴くまま適当に。でも時々全体を見ながら、バランスを取って並べたつもり。とはいえ、一定の間隔はつまらないと感じたので、敢えて中央に寄せ気味で端は疎らに。セオリーはあるかもしれないけれど、まぁいいか。

小石を埋め込むとどうしてもそこが窪むので、表面の仕上げの刷毛引きがムラになってしまいます。乾いてから補修をかけると、思いがけず古美た風合いになりました。

 

大雨の時、庭に水が溜まらないよう暗渠排水工事中。黒いパイプは透水パイプで、近くのU字溝に排水するよう繋ぎます。モチノキの樹勢が凄いので、掘るついでに根の整理もして下さいました。

 

木塀の足元の処理とか、水はけを良くする仕掛けとか、見えない部分の処理も出来る限り施しました。立水栓を埋設してスッキリさせて、それも店内から見えないように景石で隠したり、とにかくいろんな仕舞いを細かくすると、庭の完成度が上がります。

あと、私の勝手な遊びで、ハート型の石を庭の中に仕込みました。

石を仕入れに行ったとき、何気に見つけてしまったのです。女性ウケ狙いで使うしかないでしょ(^m^* 実は私も以前、高台寺でハート型の石を見つけて何故かちょびっとテンション上がった経験があったのでね。

嬉しそうにハート形の石を抱えてきた私を見て、職人さんは呆れたような顔で「それ、ほんまに持って帰るん?」と何度もしつこく聞かれましたが「絶対に失くさんといてね!」とお願いして、特別梱包で持って帰ってもらいました。それで現場に入れる直前に「失くした~」とか言って脅かすんですよ。もぅー。

 

石を仕入れたときの様子。こんなに一杯ある石の中で、たまたまハート型で手頃な大きさの石を見つけてしまいました。

 

でもね、いくら何でもこれ見よがしな感じでは使いたくなくて、よく見たら「ひょっとしてハート?」と思う程度に、あくまで控えめに庭の雰囲気を壊さないよう埋めたのです。

お客様にはサプライズで(ダメだったらはずせるから)完成してからお伝えしましたら「可愛い♡いいですね!お店の宣伝に使おうかな」とおっしゃってくださいました。ムフ、遊び心あるお客様で良かった。

 

この画像の中にハート型の石があります。見つかりますよね??

 

仕上がった庭。全体の半分程が写っています。手水鉢は縁先に据え直し織部灯籠を寄せました。延段が諸事情で計画より短くなってしまったけれど。いろんな石が集まっていい味を出してくれるといいな。

 

ゆる音家さんの改装工事が全て完了されて、現在は通常営業されています。お近くにお越しの際は是非お運びください。

参考までにぐるなびのリンクも貼っておきまーす→コチラ

 

次回は植栽について書きます。

 

 

石の選別に

今日のブログは京町屋の庭について書く予定でしたが、まとめきれていないので、別の話題。

昨日行って来ました、庭石の選別の様子をご覧いただきます。

 

 

石屋さんで。ボーッと立ってるように見えますが、足場が悪いので結構気を遣ってます。転んだらシャレにもなりません。

 

パートナーの造園会社さんの仕入れ先なんですが、すごーい山の中にあります。

県内だけど、ディアガーデンからは車で2時間弱かかります。

途中鹿の親子を見ました。びっくりです(^^;

 

大小用途別に石が積まれています。手前に映っているのは小ぶりの景石。

 

今回は、来月作庭する予定の坪庭に使う石を選びます。

メインは差石(塀や壁面の下に並べる石)で、それは職人さんが仕事がやりやすいように選んでもらえばいいので、私が主張するところではないのですが、飛び石やら役石、その他こまごました石などは一緒に選びました。「そんなんあかん。」とか言われながら(笑)

差石や敷石は、平らな面があって同じくらいの高さの石が一定量必要です。作庭現場で、いちいち選んでいては時間がいくらあっても足りませんから、こうして前もって選別して仕入れる方が良いのです。

飛び石は、数や大きさ・色など、庭の広さや雰囲気によって違ってきます。既製品のものは便利ですが、あまりに綺麗すぎて(新し過ぎて)、年月の経った庭では浮いてしまうため、こういった自然石の方が合いやすいの。折角なので、同じ場所から出る石で統一しようと思い、合わせて選びに来たわけです。

個人的に好きな飛び石は、平らであってもこぼっとした柔らかそうな石。(この表現で伝わるでしょうか?^^A)小さな庭ですが、変化をつけて味わい深く、しかも歩きやすく据えられたらと思います。

 

持てそうなサイズの石の山。これらは石積み用、根石・差石用、その他いろんな用途に使える石です。高く積まれてそびえてる~。

 

それにしても。

いい大人が寄って、一生懸命石を拾っている様子はなんだか面白い。無造作に拾っているように見えるかもしれませんが、使う用途によって合う合わないがあるので、そこそこ真剣なんですよ。

ホント、造園ってつくづく面白い仕事だなぁって思います。

 

前の画像の山の高さ、重機と比べてお分かりいただけるかと。

 

庭づくりの材料はいつも、お客様のご要望とデザイン、場に合うものをこうして丁寧に選んでいます。

特に植物や石・竹製品などの自然素材は、ふたつとして同じものがありません。それが庭の物語となり、個性となるわけで、私としてもひとつひとつが真剣勝負です。

 

 

一人生えに注意!

関西では観測史上最も遅い梅雨入りとなった26日、ここ近江八幡市では朝からピーカン。

とある店舗さんの庭のメンテナンスを請け負っており、天気予報では午後から降るようなことを言って心配していましたが、自称「晴れ女」のワタクシ、仕事を全うして?この日はとうとう一滴も降らせませんでしたw

雨が降らなくても、滝のような汗で結局ビショビショになるんですけど(^^;

 

こちらのお客様のお悩みは、植えた覚えのない、勝手に生えてきた木を放置していたら、いつの間にか大きくなってしまって、お店のシンボルである看板が見えにくくなってしまったこと。

見ると5m近くにも育っています。花壇枠ギリギリのところに生えているものが多く、普通で考えて造園関係者がそんな端っこに植える訳がないので、これらの木は、近くの木から種が飛んできて発芽した、もしくは、実を鳥が食べて糞を落とし発芽したものに違いありません。こういう現象を「実生」とか「一人生え」と言います。

 

メンテナンス前の状態。動画の切り取り画像なので再生しません。なのでかなりブレてますが。左の黒いのが看板で、その付近にクスノキやエノキやクロガネモチがニョキニョキ育っていました。恐らく「一人生え」かと思われます。

 

一人生えの木でよく見かけるのは、高木ではクスノキ、シマトネリコ。クスノキは街路樹に多く、たぶん鳥が運んでいます。シマトネリコは庭木に多く、種を飛ばしているものと思われます。低木ではナンテンやマンリョウなどをよく見かけます。

そもそも木の実は繁殖のために生らすもので、熟すことによって鳥や動物に食べてもらい、遠くに運ばれるように出来ています。生き物の体内で発芽しやすい形に加工され、適度な水分や栄養分と共に排出されることまでも植物は計算済みで、その種のDNAには親から受け継いだ土地の情報も満載だから、根付きやすく成長も著しいのです。

そう考えると一人生えは起こるべくして起こる現象、ですね。

ディアガーデンの庭でも、一人生えはしょっちゅう。以前、侘助椿の根元にツヤツヤの葉をつけた苗が10cm程に育っていて、もしかして椿?と思っていたらクスノキでした。どこかでみたような?と思ったらマンリョウだったとか。ナンテンはさすがに分かりやすいのですが、葉が小さいうちは見分けが付きにくい場合もあります。嬉しかったのは山椒の木。ヒペリカムもあったな。うちの場合はもともと小さな庭だし、おまけに植栽が飽和状態なので、今は見つけ次第全部抜いてます。

一人生えで特に気を付けていだたいきたいのはクスノキ。「小さいからまだいいや。葉っぱもきれいだし、目隠しにちょうどいい」なんて思って放っておくと、あっという間に大きくなって、根も張って抜けなくなり、どうしよう~ってなります。広い庭ならいいけれど、普通のご家庭の庭先にクスノキがあると、剪定は毎年しないといけませんし、切り枝はワンサと出るし、落ち葉はすごいし、大変だと思います。

 

メンテナンス完了。画像手前の花壇に生えていた「ひとり生え」の高木を伐採。ツツジの枯れ木を取り除き剪定、デッキ周りは除草して防草シート敷き化粧砂利を蒔きました。花壇と歩道の間の雑草もキッチリ抜いて掃き清めたらこの通り。めっちゃスッキリ♪照明がちゃんと当たるようになって夜の看板も明るく。

 

この店舗さんのように低木を植えている花壇内に一人生えが起きると、どうしても発見が遅れがち。これからもこのような現象が起こる確率は大で、日々の観察と、こまめに花壇のメンテナンスを行うことが一番です。

梅雨に入り、これから植物の成長が加速します。見かけない木を見つけたら、すぐ調べて正体を突き止め、冷静に判断してください。たぶん抜く方がいいかなぁと思います。

 

 

仁々木守山店様の造園工事

前回に引き続き、今週完工したばかりの和菓子店「仁々木守山店」様の造園改修工事について書きます。

先日は庭のポイントとなる景石について書きました。本日はBefore&Afterを中心にご紹介します。

 

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まずはBeforeから。

 

改修前。色々な木が植えられて生い茂っていました。育ち方に偏りがあり枯れかけた木も。

 

改装前の花壇。近づいて見ると、雑然とした印象は否めない。

 

改修工事は躯体はそのままで意匠を変えるというコンセプトで進められました。あとは、ほとんどお任せで設計させていただいたのですが、

  1. モミジは残したいのと、使える木は使ってほしい。
  2. 外から店内の様子が見えるようにしてほしい。

というご希望がありました。

それをふまえ、モミジで骨格作り、花壇の中ほどに空間を大きくとるデザインをお勧めしました。

モミジ以外では、アセビやユキヤナギ、ヒイラギが元気に育っていましたので、慎重に掘り取り、十分改良した土壌に移植。すると、これまで埋もれていたこれらの低木達が、見違えるように輝きました。

 

改装後の花壇。よく成長している植物だけを選び、そこに新たな植物や景石を足してデザイン。花壇中ほどに空間を設け店内がよく見えるようにスッキリまとめました。建物も和モダンでとっても素敵に。

 

店側から改装後の花壇を見る。元はコンクリートの部分に敷石と化粧砂利で庭のように演出。花壇と一体感を持たせた。

 

配置しなおしたことで、既存の植物の存在感がUP。お客様も「こんな植物ここにあったっけ?」とびっくりされる程。

 

低木以外では、季節ごとに咲く草花をたくさん植えました。和菓子店なので自然な雰囲気の山野草が中心です。ホタルブクロ、野州ハナゼキショウ、カワラナデシコなどに加え、地元滋賀県の伊吹山由来の伊吹ジャコウソウなるハーブも植えました。これは和製タイムと呼ばれ、とてもいい香りがします。

香りといえば、ギボウシでも香る花が咲く種類のものや、秋に香るフジバカマも植えています。実のなるもの、葉っぱのそよぐもの、などなど、これからどんどん成長し茂っていく予定です。

落ち着いた雰囲気にまとめつつも、訪れるたび新しい発見があるような。そんな植栽デザインなんですよ。

 

改装後。看板が付く予定の場所にシンボリックな花壇を新設。入口を目立たせる効果も出たと思います。

 

さて、こちらのお店、新装開店は本日4月13日(土曜日)です。

お近くにお越しの際は、是非一度お運びください。

 

 

お花見日和、作庭日和

関西の桜もようやく見頃を迎えました・・・が、今日は雨。

ワタクシ、今期はまだ地元の桜しか愛でておらず、花散らしの雨にならないことを祈ります。

 

近江八幡市の観光スポット「八幡堀」の桜も満開。私は観光客のいない早朝か夕暮れの時間帯を狙って行きます。

 

八幡堀のソメイヨシノ。毎年見てるけど、毎年ウットリ。

 

日曜日に近所の公園でお花見ランチしました。ここは家族連れで賑わっています。

 

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さて、そんな満開の桜に後ろ髪をひかれながら向かった先は、造園工事の現場。和菓子店「仁々木」様の守山店です。1月の祇園本店に続きこちらもリニューアルされ、それ合わせて植栽も変えることになりました。ディアガーデンに再びご依頼いただき有難いことです。

(祇園本店様の造園工事 詳しくは→コチラ)

 

守山店様のリニューアルの方針は、躯体はそのままで意匠を変えようというもの。庭も同じように、

1.元々あった花壇のベースを生かしつつ植栽デザインを変える。

2.花壇をひとつ追加する。

といった工事内容となりました。

 

建築の外装工事がほぼ完了し造園工事開始。はじめに不要な植物を撤去し土を改良。それから石を据え木を植えます。ユンボ(正式には「バックホウ」という)を使って効率よく進めます。

 

今回のデザインは、いや今回も?景石をポイントに使いました。私の設計では、和洋問わず、わりと石を使います。

石って時間の塊のようなもの。その存在感はどんな庭にあっても確かで、これほど植物に合う素材はないでしょう。メンテナンスフリーなところも良くて、お手入れに時間が取れない方には、枯山水のような石を使った庭はピッタリだと思います。モダンにもナチュラルにもデザイン次第です。

 

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景石は、前もってパートナーの造園屋さんや材料屋さんで選んでおきます。

場に合う大きさ・形で、デザインする雰囲気に合う色・風合いの石を探します。でも大抵無造作に積んであるので、せいぜい2面くらいしか見えません。小さな石なら手で動かせますが、ある程度大きな石を選ぶ際、いちいち重機で吊って見せてもらう訳にもいきませんしね。裏側がどんな風になっているのかは、想像するしかないんです。

とはいえ、想像を大きくハズすこともありません。想像と違っていても、その石なりに良いところが必ずあるので、それを生かすのが一番。何も困ることはないし、一つで足りなきゃ、もう一つ添えるとか、植物を添えるとか、すればいい話です。そういう臨機応変な気持ちというか、切り替えの発想を持っていないと、石など据えられない。

・・・なんて偉そうに書いてますが、私の言葉ではありません。そう教えてもらったんです。

 

パートナーの造園屋さんの土場で景石選び。ゴロゴロと無造作に積んである山を登り、目当ての石を探します。緑のテープでマーキングしてあるのが今度使う石です。

 

今回、パートナーの造園屋さんのアドバイスをもらいつつ選んだ石、一番目立つところに据えようとした石が、想像を超えた石でした。自然にできた窪みが、水鉢のようになっており、うまい具合に水を張れるのです。

自然石手水鉢といっても、普通は人工的に水穴を掘ったものが多く、こういった自然の力により穴が掘れたもの、一切加工してないものは、探すのに苦労します。それがたまたま選んだ中にあったという訳です。

土場で選んでいるときは、下向きになっていたのか?そういう窪みには全く気づきませんでした~(^^;

 

自然に出来た穴にうまく水が張れるように据えました。雨が降った後、水を打った後に出来る水面が、庭に趣を与えてくれます。

 

そんなハプニングがありつつ、お天気にも恵まれて、気持ち良く楽しく作らせてもらいました。

次回に続きます。

 

 

現場帰りに隈さん建築を探訪-守山市立図書館

来週、仕事をする現場で打合せを行ってまいりました。

昨年から計画していた事案。かなり変更はありますが、有難いことに作らせてもらえることになりました。

 

来月オープンに向けて追い込み中の建築現場にて。ここに新たに花壇を設けます。

 

この度の現場打ち合わせは、パートナーの造園会社さんと、実際に仕事をする手順に沿って確認しつつ行いました。建築工事も佳境で、いろいろな職人さんが賢明に作っておられます。邪魔にならないようにしないとです。

建築工事といえば、よくあることなんですが、いただいている図面と変わることもあります。そういうところ、私達はいちいち説明を受ける訳ではないので(^^;

「あれ?ここ、図面と違いますね。」「このままではうまく収まらへんな。」「うーん。」ってな感じになることは、しょっちゅうなんですね。でもなんとか収めます。最後に収まりの帳尻を合わすのも造園の仕事。逆に言うと、最終工程の造園でしか出来ない帳尻合わせもあるのです。

 

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さて、今回の現場は守山市というところ。この近くにかねてから見たい建築があったので、ついでに寄ってまいりました。

それは、新国立競技場の設計でも注目の建築家・隈研吾さんが手がけられた「守山市立図書館」。オープンしたのは昨年11月1日でした。隈さんファンのワタクシ、まさかこんな近く(ディアガーデンから車で30分ちょいのところ)で見せていただけるなんて!思いもよらず嬉しすぎます。

実はオープンの少し前に外観は探訪していたのですが、内観は混雑が治まってからじっくり・・・なーんて思っていたら、うっかり半年近く経ってしまいました。

 

外観は如何にも隈さんらしく縦格子のデザイン。でも他の作品と違ってかなりカジュアルな印象を受けました。

 

トサミズキやサンシュが満開。もともとあったのか?新たに植えたのかわかりませんが。山にあるような木々と杉の意匠の建物が青い空に映えてます。

 

人々を引き込むように外に開かれ、散策しながら本と人との交流を生み出す「みち」のような図書館を目指したとか。図書館の周りには散歩道があって、その両脇に植栽スペースもあります。自生植物がランダムな感じで植えられていました。今はまだ苗ですが、おそらく梅雨明けにはモリモリと茂っていることでしょう。

デザインコンセプトは「本の森」で外装や天井など管内全体に滋賀県産の杉を使い木のぬくもりを感じるよう設計されています。私が素敵だなぁと思ったのは、内装のカラーコーディネート。淡いベージュのスギの木の色にグリーンっぽいグレーを合わせておられて、とても優しい色合いで和みます。

 

解放感ある大きな窓。本から視線を外しぼーっと外の景色を眺める・・・そんな動作が自然にできるのはこういうピクチャーウィンドウがあるから。

 

スギの木に包まれた、もしくは杉木立の中にいるような意匠。吹き抜けが予想以上に高く気持ちいい。

 

ガーデンファニチャーはディアガーデンでも取り扱っている「Altec(アルテック)」。デッキスペースでは飲食可能らしい。

 

図書館の中に併設されたカフェで。

 

訪れたのは春休み中のウィークデー、時間はお昼前でした。ご年配の方や子供さん、ママさん等で結構賑わっていましたが、吹き抜けの大空間のせいか、まだまだ余裕が感じられます。本棚が大きすぎるのか?肝心の図書は物足りない感じで今後に期待です。ここで調べものが出来るくらい植物や庭の本が充実するといいなぁ。

ともあれ、滋賀県にまたひとつお洒落なスポットが出来て嬉しいな。天気のいい日なら、テラスに出たり・・・、一日いても退屈しないかも。近江八幡市民の私は本は借りることは出来ませんが、スペースを使うことは可能なので、ちょくちょく寄ってみたいと思います。

 

 

仁々木祇園本店さんの植栽工事

2019年最初の施工は、久しぶりに職人さん抜きの独り仕事。軽バンに材料をてんこ盛りに積んで、向かった先は京都の祇園、八坂神社のすぐ近くで、路地をちょっと入ったところにある菓子店「仁々木」さんです。

仁々木さんは、和菓子以外にも、とろっとろの「祇園ぷりん」や種類豊富な「フルーツ大福」でも有名。関西のみならずSAや関東にも多数店舗展開されています。

祇園にあるのは本店で、今回店舗をリニューアルされました。設計は宮村太設計工房様です。建築家で工房を主宰されている宮村様にお声掛けいただき、店舗前の花壇の植え込みを仕上げる役目に預かりました。

 

仁々木さんの祇園本店。リニューアルされた玄関です。シンプル和モダンな雰囲気で清潔感があって、とても素敵。暖簾にある「むしやしない」とは、ちょっとした食事や甘味で小腹を満たすこと、だそうです。

 

建物の改装工事が終わっていよいよ植栽工事のスタートです。路地に面しているので、観光客や車も頻繁に通る中、出来るだけ迷惑にならないように作業をすすめました。

 

作業は宮村様の監督の元すすめてまいります。でも周りから見ると、監督と職人じゃなく、職人2人に見えていたと思います(^^; 植え込み作業はもちろん、重い物を運んで下さったり・・・一緒に汗を流してくださいました。冬だけど、着込んでいるせいか?動いていると本当に暑くなってくるの。

こうやって、一緒にやりながらワイワイ作る現場は、適度な緊張感もあって本当に楽しいです。工夫や、そこもうちょっとこだわりたいって意見も素直に出て、どんどん良くなっていきますし、作り手の前向きな気持ちは、植物にも伝わりますから、和やかな雰囲気は本当に大事だと思っています。

そういう雰囲気を作って下さって感謝です。

 

植え込みの枠はモダンなスチール製。奥行のない花壇なのでこの素材を選ばれたとか。なるほど!です。中には水道メーターなどのBOXが2つもあります。これを上手く隠しつつ緑あふれるスペースにします。

 

植栽デザインは、ほとんど建築家さんのご意向をそのままカタチにしたもので、私は素材調達や、植え込みの際にディティールとかバランスを整える役目に徹しました。小さな花壇なので仕事は早い。4時間程で完成です。

 

自分が職人になると、作業中の写真がタイミングよく撮れません・・・。

なのでいきなり完成写真、ドン!

 

植え込み完了。なぐり仕上げの壁に緑がはんなり寄り添います。

 

Before&Afterを見比べていただくと嬉しいです。

緑が入ると雰囲気がだいぶ変わると思いませんか?建物が柔らかく見えるし、動きが出るので生き生きとします。元の土だけだった時と比べると、植物を植えた方が広く見えるような気もするから不思議です。

小さなスペースでもこんなに表情豊かになるんですね。

 

高木:ハイノキ、低木:シャリンバイ・コバノズイナ、下草:ヤブコウジ・クリスマスローズ・セキショウ・ツワブキ・スナゴケ。

 

常緑の植物の間を苔で埋めたので、年中青々と清々しい花壇です。季節が巡ると小さな花も咲きますし、雨の日は石や苔が生き生きとするでしょう。

水道メーターには竹の蓋を被せ、飛ばないように関守石を重石として載せています。水繋がりで井戸蓋に見立てた、って建築家さんがおっしゃっていましたが、一見飾りにしか見えないので、この下にまさか水道メーターが隠れているとは思いませんよね~。簡単に外せて検針の際にもスムーズです。

この竹の蓋と石は、前もって、ここに合う大きさでこしらえておきました。(以前のブログで解説しています。竹の蓋について→コチラ関守石について→コチラ)現場に置いてみると、本当にピッタリだったので、ほっとしました~(^^*

 

小さな景石も据えて。庵治石と赤いのが富士溶岩石です。クリスマスローズの花が赤だし、いろんな植物にちょっとづつ赤が入っているので合うと思う。ほんと、ちっちゃい石だけど。

 

ショウウィンドウの枠と花壇枠が同じ素材で作られています。かっこいいです。錆びることも味となるそうで経年変化が楽しみです。ハイノキは大胆に枝を抜いてすっきりさせました。こうして建物の意匠に少し緑が絡むことで一体感が増すように思います。

 

木を多用された上品な外観。栗なぐりの壁は、日差しの加減で微妙に影を変えるので、とても味わい深く見ていて飽きません。そんな美しい背景に、植物や石、鉄といった素材が主張しすぎることもなく、あくまで自然な感じで寄り添っている感じがねー、何とも絶妙で素晴らしい!

って、半分自画自賛ですけれど。本当にそう思います。

お近くにお立ち寄りの際はご覧いただき、美味しいお菓子も是非~♡

 

(この他の画像はWorksに掲載する予定です。またお知らせします)