真冬の植栽現場にて 

先週末は、設計監理を担当させてもらっている現場で、メインとなる高木を植えてまいりました。

ディアガーデンでは、個人邸や店舗、住宅会社等々、様々なお客様がおられ、お仕事内容もケースバイケースで請け負っております。設計~工事~メンテナンスまで引き受けさせていただく場合や、今回のケースのように設計監理だけの場合もあります。

設計監理だけですと、ディアガーデンのパートナーの造園会社様や職人さん以外と作っていくこともあります。例えば、県外の場合は、必然的にその土地の造園会社様と組むことになります。

お客様と設計者と工事者、その3者が同じ思いを持って、一つの庭を完成させていくわけで、お互いが協力しながら情報も回して、作っていかないと、良い庭にはならないと思っています。だから、デザイナーはただ「いい庭を設計したらいい」というだけでなく、コミュニケーション能力も大事なのかもしれません。自然素材ばかりで作るので、図面通りに植えたら終わり、ではない。設計者が設計の目的を、工事者にキチンとお伝えしなければ、お客様の本位が庭に反映されませんし、その伝え方にもやり方があるように思います。

 

雨続きでなかなか植えられなかったところ、泥んこ状態ですが・・・なんとか植えるタイミングがきました。広い庭ですから樹高5m、7mと比較的大きな木を植えさせてもらいました。

 

この日、私の仕事は、図面の位置近くに指定の植木を配置し、微調整しながら全体のバランスも見つつ、その立ち姿を決めていくことです。造園会社様の職人さんたちと丁寧に植えていきます。

多くの職人さん達は、なぜこの木がここに植わるのかを知りません。そりゃそうですよね。ですから「こういう風に見せたいので、この枝がここに来るようにお願いします。」とか「この3本で雰囲気つくりたいので、こんな風に組んで下さい。」とか出来るだけ設計主旨も合わせて伝えるようにしています。そうすると「なるほど、じゃあ、もう一回吊ろうか」とか「回そうか」とか、動いていただけるように思います。設計監理者それぞれにやり方があると思いますが、私はまわりを巻き込んで知恵も出してもらって、より良い庭を作りたい派です。

更地だったところに、一本、また一本と植わっていくたびに、どんどん庭らしくなってきます。一瞬仕事を忘れて、感動してしまう瞬間が何度もありました。冬なので葉っぱの緑はありませんが「やっぱり木が入ると建物の見え方が変わりますよねー。」「そうだねー。」って職人さん達とニンマリです。春の芽吹きが楽しみですが、実は庭の完成までは時間がかかりそう。これからも何度か通う予定です。完成まで頑張ります!

こちらのお庭はとにかくたくさん植えますから、お客様に主だった木だけでも名前がわかるようにと、プランツタグをご用意。名前さえ分かれば、イマドキは手元でいくらでも検索して情報が得られますので、シンプルに書くことにしました。読みやすい丸ゴシック体です。

 

プランツタグはお洒落なスレートでできたものをご用意♡イギリスのナッツシーン社製です。樹木名は油性のホワイトペンで書くと消えにくいです。数年たってもし消えてもまた書けばいいし。

 

吊るすとこんな感じ。タグって悪目立ちする商品が多いのですが、これなら自然な感じでいいかな♪

 

12月の現場はさすがに寒いです。こちらの現場では雪も予想されたため、カイロ貼りまくり&重ね着&お洒落カッパ&長靴と、かなりな重装備で臨みました。ラッキーなことに晴れてきて、走り回っていたこともあり、ポカポカとあったかい位で、本当に良かったです。基本、現場監理の仕事って、立って見ていることが多いので、凍えたらどうしようって、めっちゃ心配だったの。

 

外仕事は暑い寒い濡れるが当たり前。その中で一日過ごすことはザラなので、服装対策は万全に。この日は防寒防雨できて、かつ動きやすいこの格好で臨みました。

 

カッパ代わりに来ているのは、ユニクロさんのブロックテックパーカーです。名前にあるように色々ブロックしてくれます。水もはじくけれど、汚れもはじいてくれて、本当に優秀。帰りは電車に乗らないといけなかったのですが、泥は水でサーッと流しタオルで拭くとキレイになったので助かりました。そんなに蒸れないし、外仕事をする方におすすめです。

実はこれ、メンズの商品。欲しかったカーキ色がメンズのみの展開で、でも私は大柄だから、Mサイズがぴったりでした。ウイメンズのようなクビレがあるデザインではないのですが、その分、中に着込めて、まさに冬場の作業服にはもってこいです。

作業服はすぐ汚れたり破けたりするので、1,2年でダメになる場合が多く、着倒せるユニクロさん頼みです。職人さんは「寅壱」というブランドの作業服を着ているって聞いて、今度見てみようと思います。女性用は少ないかもしれませんが、私、大柄なんで(←クドイ?)

そのうち意味もなく地下足袋も履くんじゃないかと(^m^*

 

 

現地調査&お打合せでのこと-さざれ石とは?

昨日の文化の日は、来年造園工事予定のお客様のところで、お客様と建築設計士さんを中心に測量、造成、造園(私)、それぞれの関係者が集まって、現場確認をしました。

こういった場では、予め納まりを確認できますし、既存の構造物の処理等を前もってお願いすることも可能です。お客様のご意向に従って、お互いの工事のやりやすいように、無駄な仕事をしないように、皆で話し合い「ここは造成でやります。」「ここまでは建築でやります。」「では、ここは造園で。」などと納得の上で役割分担もできて、とても有意義な打合せだったと思います。

 

建築予定地は、滋賀県と岐阜県の県境にある伊吹山(いぶきさん・いぶきやま)を望む場所にあります。さすが滋賀県では最高峰のお山、すごい迫力!

そんな中で面白い発見がありました。

以前の土地の持ち主さんが隣地境界に添って石を積んでおられました。人が持てるだけのそれほど大きくない石をひとつひとつ積み上げた素朴な石垣です。雑草が生えたり苔むしていて、それはそれで味があって素敵なのですが、今の時代の境界にしては、曖昧すぎてそぐわないもの。崩れかけている場所もあり、この機会にしっかりとした擁壁を設けることになりました。

でもその石は捨てるには勿体ない。折角なので、作庭に利用できないかとお客様がおっしゃっていて、さて、どんな石なのか?庭に使える石なのか?現場確認のついでに、じっくりと検分してみました。

パッと見その石は、コンクリートを砕いた塊のようです。骨材のようなものが表面にブツブツと出ていて「これって石?コンクリ?」ってつぶやくと、地元の造成担当の方が「それは、さざれ石や。」と教えて下さいました。

 

これが苔むしたさざれ石。ね?コンクリの塊をかち割って10年位放っといた感じでしょ?w

「さざれ石って、あの「君が代」に出てくるさざれ石ですか?」「そうやな。」

「えーっ!これがさざれ石?!」お客様と一緒にビックリしてしまいました。私達、同年代ですから「これが国歌に出てくる石なんや~。」「なんかすごいな。」などと盛り上がっています。

国歌って、もう何百回も歌っているはずですが、意味を語れますか?さざれ石っていう石が岩になって、苔むして、だから結局何が言いたいの?なんか永く栄えるっぽい感じかな?位で、私はこれまで深く追求せずに、結局は口先だけで歌ってたってことです。

恥ずかしながら、私の勉強不足を露呈してしまいました。さざれ石なる石をじっくり見るのは初めてでした。事務所に帰って調べてみると、

さざれ石とは、字のごとく、小さな石という意味。学名は石灰質角礫岩
日本全国にあるさざれ石の石質はさまざまですが、石灰石が長い年月をかけて雨水で溶解し、粘着力の強い乳状液が小さな石の隙間に凝結し、ひとつの大きな岩の塊になったもののようです。

日本では、滋賀県と岐阜県の県境にある伊吹山が主要産地になっています。

また、さざれ石は年月をかけて成長することから、神霊の宿る石だと信じられてきました。

国歌の君が代は、もともと古今和歌集に収録されている短歌のひとつでした。「君が代は  千代に八千代に  さざれ石の  いわおとなりて  苔のむすまで」とは、小さなさざれ石が長年をかけて巌という大きな石になるまでの長い年月を示すものなんですね。確かに現物を見ると納得です。国民が団結して未来永劫栄える国づくりをしましょうとか、そういう意味かなと思います。

お客様の敷地は伊吹山のふもとにありますから、さざれ石はあって当然の石。どうりで、地元の人にとって馴染み深い石だったわけです。

滋賀県に越してきて15年近く経ちますが、まだまだ知らないことだらけだなぁ。本当言うと、以前、伊吹山に登ったことがあるので、知っていてもおかしくないのですが・・・。その時はまだ駆け出しだったし、山野草ばっかり見ていました。

 

証拠写真!伊吹山山頂には石がこんなに!山登りの途中にさざれ石を見ていたかも?! 若かりし頃の私と飼い犬のラルフです。(目をつぶって写っているので恥ずかしくてボカシいれました^^;) いつもえらいとこまで連れて行かれて、ラルフは大変だったろうな。

さざれ石を使った庭がどのようになるのか、私もとても楽しみになりました♪

 

 

天候不順の工事現場より 

造園工事はいつも天候に左右されます。仕方がないことなんですけれど。10月は雨と台風21号のダブルパンチで、現場ではずっと雨具が欠かせませんでした。

昨日までいた現場。遠いので泊りがけ行ってきました。出張の用意をしているとき、次の日は台風一過の晴れ予報だったのに、夜に着いてみればもう雨予報に変わっていて、結局ほぼ一日降ってました。もー、晴れるって言ってたやん!(`^´)

その日は予定していた工程の半分くらいしか工事が進まずで・・・。

 

台風21号の雨で現場は水たまりだらけのドロドロ状態でした。当然私の足元もドロドロです。

 

でもなんとかその次の日は晴れて再開!とってもワクワク、嬉しい気持ちで現場へ向かいました。

造園工事は壮大な泥遊びというか、最初から最後まで土をいじっています。こちらはかなり広い現場なので、でっかいユンボ(油圧ショベル、バックホーのこと。ユンボって言いやすいの)で、造成していきます。

 

こんな青空久しぶりに見た気がするーーーっ!水も引きかけてます。ユンボも動いてる♪

 

ここはもともと真っ平らに造成されていた土地。お庭は大小いくつか築山を作って眺めに変化をつけるデザインにしました。今回の出張は、その築山の格好を決めるのが目的の一つ。

築山といっても、小山ほどもある結構大きなものなんですよ。自分の頭にあるボリューム感と実際に土を盛ってみてどうなのか?を照らし合わせ、工事の方と相談しながら決めてきます。

私は離れた位置からカタチを見極め「このあたりもう少し削って下さい」とか「ここまで盛って下さい」とか言うのが仕事です。傍から見たら、たぶん敷地をやたらグルグル周っている人にしか見えないかもしれませんがwこの日もなんだかんだで1万歩超え!結構歩いたわ~。

周りつつ、頭の中はもう木を植えることを考えていて、要点を図面にメモメモ。植えるとなったら、変に悩んで職人さんの手を止めないように、予め先々のシュミレーションも欠かせません。それが悩ましくも楽しい作業なの。

そんなふうに植栽のシュミレーションをしているとき、私だけかもしれませんが、つい両手が動いてしまいます。腕や手を木として景色に当てはめて、考えるのが癖なんです。ブツブツ言いながら手を動かし始めるので、やっぱり傍から見たら変だろうなと思います。誰も見てないことを祈るばかりです。

 

ちょっと見えづらいですが、完成した築山の裏側から見たところ。見よ!この神々しい?小山を!なんつって^^; 今見えている土の部分が全部緑になるの!楽しみです♡

 

日がそろそろ傾きかけそうなころ、小山、いや築山が完成しました。フォルムが日に照らされているところを見て、満足して現場をあとに。自分の中ではイメージに近く、とってもいい感じに出来たと思うのですが。来月木を植える時に更に微調整します。

願いは一つ。

晴れるといいな・・・(^_^;)

 

 

大きな木を切るとき、抜くときの儀式 

先週庭のリフォーム工事をさせていただいたお宅、カシを数本抜いた後、空いたスペースに坪庭を作ってまいりました。施主様は大変植物が好きなお方で、これからじっくり数年かけて、理想の庭に仕上げられる予定です。

さて、今日はそのカシの木を抜く話です。

苗木を植えて13年程経ち、樹高は5m位。これまでは施主様が剪定に励んでおられ、この大きさにキープされていました。しかし年齢的に考えると、この先同じように手入れが出来きそうにない・・・。それで仕方がなく木を減らすご決断をされました。合わせてちょっと違う眺めの庭を造れないだろうかとご相談いただいたのです。

 

ご神木や大樹を切る場合は、事前に神主さんに祈っていただくと思います。でもそこまででもないなと思う木を切る時はどうでしょう。生きている木で、そこそこ大きい、それに思い入れもある木です。私は、いくらご依頼とはいえ、いきなり切ってしまうなどと言う手荒なことは出来ないなぁと思っています。

一般的にはお祓いとかお浄めと言いますが、私の考えとしては、そんな恐れおののく感じじゃなくて。木に対して、切るに至った経緯を伝え、謝罪と感謝の気持ちを表すのが筋だと思うのです。生き物である木の命を、人間の理由で奪ってしまうわけですから、それくらいはしなければと。

昔からある木を切って障りが出たとか、良くない出来事が続いたとか言う話をときどき聞きます。でもそれって濡れ衣ではないでしょうか。植物はとても純粋な生き物、恨むなんて恐ろしいことをするでしょうか。それでもそう捉えてしまうのは、人間のどこか後ろめたい気持ちからきているのではないかと思います。

大きな木なら雨風からそのお宅を守ってくれていたはずですし、夏には影を作り涼しさをもたらしていたことでしょう。その影により、庭の雑草も押さえていたのかもしれません。もしもそれが落葉樹なら新緑や花、果実で楽しませてくれたのかもしれません。可愛がってきた木なのに、自分の都合で切らざるを得ない・・・。辛いですよね。

それで、様々なご事情やお気持ちを汲んで、私達造園業のものは、お酒やお塩のチカラを借りて、木にことわりを入れてから、伐採や抜根作業を行うわけです。木と施主様、両方が少しでも納得がいくように、お慰めになれば・・・。そんな「気持ち」でやることですので、値段どうこうって当然ながら関係ありません。

これから木を切ったり抜いたりするという方で、気になるなぁという場合、造園業者の方に頼めば、このような儀式をきっと快くやってくださると思います。私も出来るだけ施主様のお気持ちに添いたいと思っていますよ。

 

カシのために用意したもの。お神酒用のお酒は特に決まりはないそうですが、私の気持ちとして、地元滋賀のお酒にしています。お清めのお塩は氏神様のところでいただいてまいりました。袋にある「撤饌(おさがり)」とは、神前に御供えし神様の力が宿った食物(今回は塩)のことです。

 

お清めの方法は色々あると思いますが、ディアガーデンの場合は次の通りです。

施主様が立ち会えない場合は、事前にお別れを言っておいてもらいます。立ち会い可能な場合は一緒に行います。まず、木の四隅に撤饌の塩を置き、次いでお酒を撒きます。そして、切る理由と、これまでのねぎらいや感謝の気持ちを私から伝え、心から祈ります。施主様にも同様にしていただくと、心の整理がつくように思います。

これまで、私じゃなくても、パートナーの職人さんがやってくれる場合もあり、その方達の見よう見まね+私の思い で、こういうカタチにしました。ただお酒を撒くだけ、という方もいらっしゃいますし、色々です。

今回は、お施主様の立ち会いが可能でしたので、一緒に行いました。とてもご納得された様子でよかったなぁと思います。作業前の静かな祈りのこの時間はとても大事で、これから始まる新たな庭づくりへの良いスタートとなります。時々今はないその木を思い出したり、とっても大きな木なら伐採後一部を生かして何かを作ってみるのもいいことです。

 

さて、様々な過程を踏まえて、いよいよ、カシの伐採作業スタートです!

 

カシの抜根作業がはじまりました。痛々しい根の画像です。当初はどこまで根が深く張っているのかと危惧していましたが、案外浅く、しかもすんなり抜けてくれて、作業はすごくはかどりました。カシも納得してくれて根をほどいてくれたのかなぁ、なんて。

これは移植するカシです。根を崩さないように「根巻き」という処理をしてから移動させます。大きな根鉢なら、この規則正しいロープワークが芸術になります。(勝手にそう思ってる)

同時に移植場所に穴を掘り、土壌改良剤で土づくりをしておきます。

クレーンで吊って移植場所まで移動中。植えながらたっぷりと水をやります。

カシの伐採と移植がスムーズに終わり、工事1日目は予定より随分はかどりました。職人さんの作業風景やクレーンで木を高く吊ったりする様子を、そばでご覧になっていた施主様も興奮気味で、楽しそうで、よかったです。

 

最後に話をまた少し戻しますが、

私はこの仕事に就くまで、就いてから最初の方しばらくも、木は生き物だとわかっていたけれど、どこか材料みたいに扱っていました。しかし、職人さんが木の根元にお酒とお塩を撒いてから、伐採されている姿を初めて見たとき、意識が変わったのです。この仕事は命を扱っているんだと。しっかりと自覚ました。

それ以来、低木や草花を抜いたり移植したりするときも、お塩は撒かないまでも、出来れば事前に、抜きながらでも祈っています。「ごめんね。またここで綺麗に咲いてね」とか何とか。ブツブツ言いながら作業しています。

変な人と思われても、そう語りかけずにはいられないのです。