2018年最初の美術展 

自然や暮らしをモチーフとしたアートは、私の感性を大いに刺激してくれるもの。時間を見つけては精力的に見ています。そんな作品を納めた美術館はある意味パワースポット的存在で、展覧会を見終わった後はいつも元気になるの。建物や庭など、空間自体がお洒落なのも楽しみなところです。

今年も様々な作品に会いに何度も足を運ぶことになりそう。ブログの読者様には美術館好きな方がいらっしゃいますでしょうか?どうかお付き合いくださいね♡

さて、2018年最初に訪れたのは、私の最も好きな美術館「細見美術館」です。ブログ長年の読者様には御馴染みですね。琳派作品を多く所蔵する美術館。館内にあるお茶室の室礼からも学ぶことが多く、ほぼ月イチペースで通っています。今はこれまた大好きな伊藤若冲展で、次回展は一等好きな酒井抱一。あぁ楽しみすぎる。

何度も行っている美術館なので、所蔵品の中なら二度三度と見せていただいた作品も多く、この頃は馴染みの絵に会いに行く、そんな感覚です。でも毎回新たな発見があって奥深く感じています。

 

2018年の美術展めぐりはやっぱりここ、細見美術館から。「はじまりは伊藤若冲」展が開催中。

 

お茶室は今回締まっていて見られませんでした。こんな時もあるんだなぁと残念に思いつつ、冬晴れの空気感が何とも気持ち良かったので、岡崎からてくてく歩き、今度は祇園へ。目当ては「フォーエバー現代美術館」です。祇園甲部歌舞練場内の八坂倶楽部をリユース、昨年6月にオープンしたそうで、こちらでは今「草間彌生My Soul Foever」展が開催されています。

歌舞練場といえば、以前都をどりを見に2回程訪れたことがあります(そのときのブログ→春の風物詩「都をどり」)改修工事をしているとは聞いていましたが、大正時代の建物が何でまた現代美術館に?! 驚きです。改修後の姿が気になるし、草間作品を間近で見るのも初めて。ダブルでワクワクです。

 

門のところは前のままで看板がかかっているだけ。この時点でまだピンときていません。

 

たくさんある作品の中、寛大にも3か所で撮影が許されてましたので、撮ってきました。パンフレットにも載っている作品ですから、ここに掲載してもネタバレにならないかと。お楽しみください↓

 

門をくぐると、かの有名なかぼちゃがドン!どんな場所でも不思議と映えるんですね。ミスマッチの極みだ。

 

大作「YELLOW TREES」(1992年)畳の枚数で大体の大きさがわかると思います。ドットひとつひとつの完成度がすごいの。この手間は・・・なんというか常軌を逸しています。

 

幼き頃から幻覚や幻聴に悩んでいたという生い立ち、それにより描かれたオリジナリティあふれる作品では、草間氏の自然を見つめる感性の鋭さが読み取れ、その表現力にも圧倒されます。延々と繰り返されるモチーフを、もしも同じように書けと言われたら、私なら発狂するかも。この仕事は鬼気迫る状況でなければ、成し遂げられないような、そんな気がします。

でも作品に対峙したとき、まず最初に「高揚感」が来るのね。それが不思議。一旦楽しいものとして受け取って、そのうちじわじわと引き込まれていく不安定な気持ちが湧いてくる。不思議、不思議。

 

松の舞台という場のチカラと相まって、生きているかのようなエネルギーを感じる作品「A BOAT CARRYING MY SOUL」(1989年)

 

展示室は4部屋あり、新しくされた畳や弁柄や浅黄色の壁が目立ちますが、間取りは変わらずで、天井や建具、照明などにも以前の名残りがあります。座してみることも出来るので、そのあたりはこの美術館の特徴でしょう。ただ建物が古いためか空調が効きにくいようです。

そしてカフェスペース。アートを見た後、ゆっくりコーヒーをいただきながらその余韻に浸る大事な場所です。その美術館を好きになるかどうか、私的にはとても重要なポイントなの。こちらは関西でチェーン展開されているノースショアさんの祇園店だそう。インテリアは大正時代の建築とはうって変わってイマドキです。カジュアルな感じで植物もたくさん。多肉植物の寄せ植えがテーブルに飾られていて可愛らしいです。入口で何故かゴムのスリッパを履かされます。

 

コーヒーは量多めで味は・・・たまたまでしょうが何故かビックリするくらい酸っぱかった。いつ淹れたコーヒーなん?酸化してる?!ありえへんレベルの酸っぱさでした。この時は知らなかったのですが、運営会社様は果物屋さんのようですから、次来るとしたらデザートにしよう。サービスのケーキは美味しかったです。

 

カフェの雰囲気はいいのですが、展示室と同様に空調は効いていないし、お味もまだオススメは出来ません。ほっと寛げず後にしたわけで、さて次回はあるか?

その他ですが、以前は入れなかった場所で、お庭を見る縁側がありました。ここが一番好きかも(^m^* 手作りのゆらゆらした硝子越しに見る庭はオツなものです。

 

庭が望める縁側には畳が敷かれ座禅用の座布団が並んでいます。壁には唐紙でしょうか?趣ある意匠でした。天気が良ければ日差しがポカポカと暖かくてとてもいい空間。

 

縁側からお庭に出て散策できます。立派な沓脱石が据えられており、そこにちゃんと外履きや傘などを用意して下さっています。春しか知らなかった眺め、今回は冬です。桜咲く華やかな時に比べ、とても落ち着いた静かな雰囲気でした。

 

松や台杉、苔の緑が清々しい。お手入れも行き届いています。

 

お茶室でしょうか?こちらも手を入れられた様子。残念ながら立ち入り禁止ですが、こちらの苔生したアプローチが私のツボ♡

 

いいお天気。池の藻がエメラルドグリーンに輝いてそれはそれは綺麗でした。春に来たときはこんなだったかしら?

 

美術鑑賞の前後に花見小路通りをブラブラされると思います。参考までに、通り近くにあるオススメ店を3店ご紹介しますね。私が実際に行ってみて雰囲気や味が気に入ったお店です。

和カフェNITI(にち)さん:堀木エリ子氏の和紙照明が見られます。たっぷりめのコーヒー美味し。夜はBAR

スイーツ→ぎをんさかいさん:上品なスイーツ、バレンタインのチョコも色々。荻野寿也氏の坪庭アリ。2階にはカフェもあるそうですが、こちらはまだ未体験。

ランチ→RIGOLETTO(リゴレット)さん。外観は町屋そのものですがインテリアは洋、大人な雰囲気のイタリアンレストラン。祇園なのにリーズナブル。味も良し。

 

伊藤若冲展、草間彌生展、どちらも2月25日(日曜日)迄です。

 

 

重陽の室礼-2017 

重陽の日を前に、久しぶりに細見美術館へ行ってまいりました。

 

九月九日は重陽の節句。菊を愛でたり、菊酒を飲んだりして、長寿を願うのが習わしです。

 

ここは琳派のコレクションで知られる美術館で、会員になってる位大好きな場所です。開催中の展覧会「麗しき日本の美 ―秋草の意匠―」を堪能したあとは、館内にある茶室「古香庵」へ。今月は重陽の室礼を見せていただけると聞き、見学してまいりました。

お茶室は最上階にあり、数寄屋建築の名匠中村外二棟梁の遺作ということです。大らかな弧を描く大屋根の下に、一見ポンと置いただけのように見える軽やかなデザイン。モダン建築と数寄屋造りをつないでいるのはガラスでした。

茶室の造作の第一印象は「清らか」「端正」。開けた障子からは岡崎公園の緑が見えます。土間には縁台があり、菊の寄せ植えが飾られていました。これも室礼の一部でしょうか。

 

細見美術館のお茶室「古香庵」。天井と梁の間がガラス張りになっているモダンなお茶室です。ドラを鳴らすと、奥から係りの方が出て来られます。

 

寄せ植えに格子の竹垣が立ててあるのは、恐らく展示の中の屏風絵を真似てのことです。こういう絵があるのです。田中抱二筆「垣に秋草図屏風」というもの。

 

 

お軸の隣には着せ綿をした菊が生けてあります。真綿をすっぽり被せた菊は見たことがありますが、このように菊の上に乗せてる風は初めてみました。愛らしいです。お茶道具も重陽に因んだものが置かれています。

 

有職の茱萸嚢(ぐみぶくろ・しゅゆのう)と菊酒。茱萸袋は、翌年の端午の節句の薬玉飾りと掛け替えるまで柱に吊るし魔除けとされました。器はやはりというか菊の抹茶椀。

 

茱萸嚢を初めて間近で見ました。とても丁寧な作りで美しいものですね。こういった有職の造花は、御所での行事や儀式、とりわけ五節句の節会で、主に邪気祓いを意図して使われ、公家文化に深く根付いていました。現代作り手は減少の一途を辿っているそうです。

素敵な室礼に感化されて、帰宅して早速菊を飾りました。

 

額には扇と菊。そこに菊を添えて「菊尽くし」のつもり。竹籠から菊が飛び出しているように生けてみた♪

 

リビングには、菊に庭の花や緑を添えたアレンジを。何気なく摘んだものを寄せただけですが、不思議と秋っぽくなりました。

 

食卓には、余った半端な菊を集めミントを添えて、まあるく生けてみました。古香庵さんに因んで、今回は器をお抹茶椀にしました。五行説より秋の色は「白」です。

 

なぜ菊に綿を着せるのか?なぜ有職の造花を飾るのか?知ろうとしなければ、年中行事の室礼とは、摩訶不思議なものに見えるでしょう。私も初めは知らないことも多かったのですが、実践しながら少しずつ覚えてまいりました。

日本の年行事はいろいろな祈りを形にしたもの。ピュアな心は、身近な植物に託し形にすることが多いので、昔の人は今よりずっと自然を尊びながら暮らしていたのではないかと思います。

お客様の庭づくりをするとき、ただ景色を作るだけ、ただ育てるだけ、ではなく、こういう室礼も出来ますよということをお伝えして、暮らしをより豊かにするためのお手伝いがしたい。それにはまず自分から実践して感じなければ、中身のない情報になってしまう。そんな思いもあって、年中行事の室礼を勉強し、自分なりに飾って、こうしてブログにも書いているというわけです。

やってみると、季節の移ろいを心の深いところで感じることができ、家族を思う気持ちや命の大切さ、感謝の気持ちを一層深く持てるようになりました。部屋が片付くといったおまけもあります。毎回どんな風に飾ろうか考えるも楽しいですし、老舗のお店のさりげない室礼に自然に目が行くようになり、その空間をじっくり味わえるようになります。

日本人として、大人として、自分をより深めてくれる感覚が身に付くと思います。おうちで実践してお子様にも自然に見せてあげるのも良いのではと思います。いいことが一杯ありますよ。

 

これは玄関の坪庭に置いている龍のオブジェ(勝手に龍神様と呼んでいる)へ、お供えのつもりで。

 

さて、今晩あたり月を見ながら菊酒で一杯やるとしますか。

ではまた。

 

 

「カフェのある美術館」のご紹介 

美術館大好きなワタクシ。俗世とかけ離れた贅沢な空間で、芸術と対峙し、ひとり静かに過ごすことが至上の喜びです。そして鑑賞を終えると、美術館併設のカフェに立ち寄り、寛ぎながら、もうしばらく感動の余韻を楽しみます。

・・・と言うとカッコイイのですが、実は、結構歩き回るので意外と体力を使ってるようで、ちょっと休んでいきたいというのが本音です。鑑賞中は夢中で気づいていないのですが、カフェのテーブルについた瞬間、ぐったりしていることもしばしばです。

美術館のカフェは、静かで落ち着いていて、本当に癒されます。大規模な企画展でもない限り大抵空いていますしね。お洒落な雰囲気で、メニューも結構充実しているので、企画展目当てでなくとも、敢えてカフェ目当てで立ち寄ることもあるくらいです。

初めて訪れる美術館では、ここのカフェはどんなだろう?と興味津々。花も団子もどっちも欲しい!私のような人にピッタリな本を見つけたのでご紹介します。

 

素敵な時間を楽しむ「カフェのある美術館」(世界文化社/青い日記帳監修)

 

全国22の美術館と7の施設(博物館、文学館、記念館など)、合計29のカフェが掲載されています。その中で既に行ったことのある美術館は6つ(京都文化博物館、根津美術館、ポーラ美術館、金沢21世紀美術館、細見美術館、石川県立美術館)です。

年に何度も訪れるお気に入りの細見美術館が選ばれているのはかなり嬉しい♪こちらは夜「trattoria en」というレストランになります。

 

細見美術館の「CAFE CUBE」地下2階にあり、テラス席は地上3階まで吹き抜けているという不思議空間です。

 

インテリアで特筆すべきは、大好きな堀木エリ子氏作の和紙の大きなオブジェ。ここでよくケーキをほおばっています( ´艸`)

 

京都文化博物館やアサヒビール大山崎山荘美術館、京都国立近代美術館などは近いので、絶対制覇したいところ。ちょうど4月29日から京都国立近代美術館では、憧れのハイジュエリーブランド「ヴァン クリーフ&アーペル」の技を極めた267もの作品が見られるとのことなので、是非行ってみたいです。(女性でめちゃ混みそう!日時を吟味せねば)

どのカフェも素敵で目移りするのですが、とりわけ、重厚で大人な雰囲気の三菱一号館美術館と菊池寛記念智美術館、隈研吾さんファンなので那珂川町馬頭広重美術館、モダン建築つながりで坂茂さんの大分県立美術館に惹かれています。旅行や出張ついでに是非とも寄ってみたいなぁ。

 

根津美術館のカフェ「NEZU CAFE」は、東京青山という都心にいるとはとても信じられない広大な庭園の中にありました。和紙のような天井や開放感ある大窓、根津邸で使われてた暖炉など、充実のインテリア!

 

この日はアップルパイをいただいたのですが、本によると人気はミートパイだとか。次行ったら絶対注文するぞー。このカフェはまさに市中の山居です。しかも周りから聞こえるのは標準語ばっかりで!ちょっと不思議な気持ちの関西人マブチでした。

 

ご本の監修をされているのは、展覧会ブログで有名な「青い日記帳」さん。だから、カフェ情報以外にも、もちろん美術館建築やコレクションなどの情報も満載です。こちらのブログは私も日頃情報収集のためによく拝見しております。併せてオススメです。

 

 

東京建物探訪&アート鑑賞2017 

前回の東京出張づつきで、建物探訪&アート鑑賞を書こうとしていたのですが、今度は新潟出張で、おまけに帰りは急遽途中下車することとなり、なんだかんだで更新が遅れました。先週のことなのに、随分前のような気もしています。でもきれいに写真撮れたので見て見て!

まずは、昨年世界遺産に登録されたことでも話題の国立西洋美術館へ。この日はあいにく企画展が終了した直後で、でもそのおかげで通常よりは静かだったのではと想像します。皆様もよくご存知かとは思いますが、この美術館は、ル・コルビュジエが設計した東アジア唯一の建造物(1959年竣工)。ピロティー、スロープ、自然光を利用した照明など、コルビュジエの建築的な特徴がよく表現されている作品と言われています。

建築については全く詳しくないので、一度その空間を体験してみたくて、今度東京に行く機会があったら絶対に行きたいと思っていた場所です。美術館好きにはたまりません♡上野公園のランドスケープも素晴らしいし、この日はとてもいいお天気に恵まれて、更に美しく見えました。

しかもここは、館内の撮影が許されている珍しい美術館なのです。ほとんどの作品が撮影できます。私もお気に入りの絵をiphoneに保存しました。いつでも鑑賞できて嬉しいです。普段は琳派ばかり見ていて、西洋絵画は久しぶりですが、ルーベンスは好きなのでコレクションを堪能しました。(懐かしのアニメ「フランダースの犬」のネロ憧れのあの画家さんですw)

 

モデュロール(身体のサイズと黄金分割によって案出された尺度)に基づいて、建築のあらゆる部分を設計されています。例えばこの外壁も前庭の床目地もそうらしい。青空を背景に割とかっこよく撮れたでしょ?

 

入るといきなりドーンとダイナミックな吹き抜け。この柱もアートですよねぇ。ここからスロープで昇っていく渦巻き形の動線が面白いです。

 

天井の高さを変えたり、自然光をうまく取り入れて、アートに合う空間となっています。全然古さを感じません。

 

あまりメディアで見ない中庭。壁面タイルの色といい、質感といい、素敵なのです。

 

モネ(左)やルーベンス(右)、フェルメール(数少ない撮影禁止)、ルノワール、ピカソ・・・有名どころの絵画がずらり。至近距離から納得するまで見れるし、ほとんど撮影させてもらえます。すごい。

 

入館料が大人でも430円とめちゃ安です。このロケーション、この収蔵内容で、驚きの値段。近くならフラッと行ってお散歩しながら一日過ごすのになぁと羨ましく思った次第です。

次は、銀座にあるポーラミュージアムアネックスで開催中の青木美歌さんの個展へ。彼女はガラス素材で菌類、ウィルス、細胞等をモチーフに目に見えない「生命の在りよう」をテーマとした作品を作られているそうです。この個展は偶然知って、視察途中に寄ったのですが、見れてよかったと思いました。とても好きな世界感、一気にファンになりました♪

 

 

 

今回の個展「あなたに続く森」では、植物のライフサイクルを細胞に視点をおいて表現されています。

 

神秘的な世界感に感動。有機的でモダンなカタチ。ミクロとマクロが交差して、静かに心震える瞬間。ガラスの透明感が生命の純粋さを見るようで美しいです。

 

滋賀に戻って調べてみると、ナント、彼女の作品が昨年すぐ近くで開催されていた「BIWAKOビエンナーレ」に展示されていたみたいです。自転車で見に行けたのに・・・知らなかった・・・Σ(|||▽||| )ガーン。次回も展示してくださるかしら?期待します。

興味のある分野はアンテナを張って見ているつもりでも、見落とすことも多々あり。でも出会った瞬間が、私にとっては適期だったと思うようにして、自分を慰めています。東京でも滋賀でも、どこでもいいのですが、いつも新鮮な気持ちで、色々な美しいものを体感して、感性を磨いていきたいです。

インターネットやメディア等バーチャルで見ていても、もうひとつ感覚に落とせない時があります。記憶に残りにくいのです。体感するということが、本当に貴重なことだなぁと感じるこのごろです。