先日、和菓子を販売されています京都祇園「仁々木」様の近江工房店へお庭のメンテナンスに伺いました。
お店は滋賀県守山市にあります。

仁々木近江工房店さま。庭のモミジが看板に彩りを添えて。
こちらは昨年春に前庭の植栽改修工事を行い、自然な和の佇まいを生かした庭に生まれ変わったばかり。
既存の高木や低木を配置替えし、季節ごとに咲く宿根草をたくさん追加しました。和菓子店なので自然な雰囲気の山野草が多めです。
お店の方々の日頃のお手入れのお陰で、どれも順調に成長し、特にグラス類は立派な株になりました。




グラス ペニセタム ビロサム銀狐(ギンギツネ)のふわふわの穂が日差しを受け輝いてとってもきれいです。大きな株に成長しました。
植えて数年たった植物で、この銀狐のように大株になった場合は株分けが必要です。株分けとは文字通り株をいくつかに分ける作業のことを言い、目的は三つ。
一つは場に合わせるため株を小さくすること。
二つは植物を増やすこと。大きくなった株は何株にも分けられるので、それを別の場所に植え替え新たに育てることが出来ます。余った株は欲しい人にプレゼントすれば喜ばれます。
三つめの目的は株の更新です。株が大きくなりすぎると、密生して風通しが悪くなったり、花が咲きにくくなったりして姿が悪くなる場合があります。そんなとき株分けをすると再び生育がよくなるのです。
株分けの適期は春と秋。グラス類はじめ多くの宿根草はこれから休眠期にはいるので、根を触ってもダメージが少なく、株分けにちょうどよい時期です。
皆様もお庭でも大株になった植物があれば是非やってみてください。




銀狐の株分け。そっと掘り上げ、株の分かれ目を狙って鎌先を入れ、思い切りよく切っていく。鎌でなくてもいいので、清潔で切れ味の良い刃で行ってください。




最終的に5株ほどに分けられました。元の場所と違う場所に植え直します。残りは植える所がなく処分するため持ち帰りました。
メンテナンス作業は他にも色々。
徒長した茎や枝は来春の姿を想像しながら、思い切りよく剪定します。まだもう少し葉が残るギボウシなどの宿根草も、このタイミングで剪定してしまいます。
先程の銀狐はまだ十分きれいだったので、本当言うと切るのが惜しかったのですが、そうしょっちゅうメンテナンスに来れませんし、お客様に切って下さいというのも何だかなぁと思い、泣く泣く剪定しました。




伊吹ジャコウソウを剪定。和製タイムとも呼ばれていて香りもそっくりです。毎年良く伸びるのでメンテナンスに来たときは思いっきり切り詰めます。根を断つ気持ちで土の中に鋏を潜らせて切るとエッジがきれい。刃には良くないことだけれど。




高木へ施肥。根鉢の周り数カ所に30cmほどの細い穴を掘り、緩効性肥料を入れ埋め戻す。




除草後、緩効性肥料を地表面にもばら撒く。このあとマルチングを施しますので見えなくなります。




冬に地上部枯れてしまう宿根草がある場所には冬咲きの一年草を新たに植えました。これから冬なので何もなくても別に違和感はないのですが、ここはお店。お客様からのリクエストです。
この日の作業内容まとめ
- 全体のバランスを見ながら植物の配置やフォルムを整え直す。
- 宿根草の株分け、植替え。
- 除草
- 冬咲きの一年草を植える。
- 高木・低木の剪定。高木はまだ高さが足りないので忌み枝を切る程度。花芽が出来ているものには注意して。
- 施肥(寒肥)
- バーク堆肥でマルチング。防寒や雑草対策になりますし、美観目的も。
- 病害虫は見られませんでしたので、薬剤散布はなし。虫の蛹や卵を手で取る程度で済みました。
- 水遣り、清掃。
一つ一つの作業を丁寧に心を込めて行いました。
これらはどの庭でもいまやっておくと良いと思います。




お手入れ完了。スッキリ清掃も終え水を打ち迎春の準備が整いました。
この日は小春日和。動いていると汗ばむくらいでした。
皆様もこういった日を狙って、作業内容を参考に冬季メンテナンスを行ってみてはいかかでしょう。
その成果はきっと来春に感じていただけるはず!
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