植木選び ー 庭づくりには時間がかかるという話

来月から造園工事が始まるお宅の植木を仕入れに、お客様を誘って行って来ました。

今の時期は葉を落とした木がほとんどですから、枝姿が良く見えて分かりやすいです。一見枯れ枝のようですが、よくよく見ると、梢はうっすらと赤く色づいていたり、ぷっくりと芽を膨らませていたりして、それらが晴天の空に向かって伸びている様はとても力強いものでした。

ちょうど梅も咲いていて、ちょっとした花見気分です。

 

畑には梅の木もたくさん。ちょうど花盛りで良い香りを振りまいていました。春らしい淡い青空に映えること!

 

ディアガーデンでは植木を仕入れる際、お客様に「よろしければ一緒に選びに行きませんか?」とお声かけしています。「分からないので全てお任せします」という方もいらっしゃいますが、ほとんどの方は「行きたいです!」と言って下さいます。

色々な植木を一度に見るって、しかもそれがホームセンターの売り場に並んでいるような小さな木ではなく、背丈を優に超える木ばかりなのですから、とても珍しい体験のようです。

私は庭をお作りすることだけが仕事とは思ってなくて、他で出来ない体験や植物の新しい知識なども併せてご提供できればと思っています。庭づくりの過程ひとつひとつを楽しむこと、それはモノづくりの醍醐味と言っていいでしょう。

選ぶ際は、もちろん予算もありますし私もアドバイスをしつつですが、最終的にはお客様が納得された木に決めます。その方がその木に対して愛着が増すだろうなと思うからです。

 

選んだ木をお客様と囲んで。木の性質、どんなふうに成長するのか、お手入れ方法なども併せてお話するので結構時間が掛かってしまいます。

 

仕入れ先の畑にある木は、背を優に超えると書きましたが、今回のお客様におススメしたのは2~3m程の木ばかり。この位だとまだ若木で幹も細い。値段もお手頃です。

「3年経てばそろそろ剪定を、5年~10年も経てばある程度の景色が出来ますよ」とお伝えしたところ「その時まで生きてるかな?」と冗談交じりにご返答が・・・(^^;

大きな木を植えると、いきなり庭が完成したようにも見えて迫力満点です。でもその分根鉢も大きいので、ちゃんと水遣りをしないと枯れる恐れがあります。大型の台風が来たら倒れないか心配になりますし、剪定するにも手が届きません。

商業施設や建物にボリュームがある場合は、バランスを考えて、大き目の木をおススメすることはあります。しかし個人邸の場合、そして初めてお庭を作る場合は、若木を植える方が良いのではと思います。

初めはひょろひょろと物足りないかもしれませんが、負担が軽くていいのです。それを自然に生長させて、時間をかけて眺めを作っていく。その場にあった眺めになることは間違いなしです。

 

建築のデザインに合わせて選んだ1本立ちのモミジ。枝が白線のようにカッコよく広がっていて、場に絶対合うと思いました。

 

時間が掛かると言えばもうひとつ。

仕入先の畑にある木は、予め太い根は切られコンパクトに整えられていて、その先から新しい根も出ています。草花でいうポット苗のような状態ですので、割と小さな植穴で済み、適切に植えれば根付きます。

でも庭に元々ある木を別の場所に植え替える場合はこうはいきません。出来れば予め太い根を切ってそこから新たに根を出させてから(根回しという)、根についている土を崩さぬよう丁寧に養生して(根巻きという)移動し、大きな植穴を掘りそっと植え付けます。大きな支柱もするので元より嵩が高くなってしまいます。

文章で書くとあっという間な感じですが、実際は何か月もかかります。枯らさぬよう植え付けるには、時間はたくさんかける方がいいのです。これを力業で1日でする場合もあり、上手く根付いたとしても樹勢をかなり落としてしまいます。

ですから移植を考えるなら、いっそ伐採伐根して、新しい木を植えた方が確実で安く済みます。でも長く付き合ってきた木をバッサリと切り捨てるなんて、気持ち的には簡単ではありませんよね。分かります。

木の移植には時間もお金も掛かると覚えてていただき、出来ればそのままでいられるように、住宅の設計なり庭の設計を進めてください。

 

苔もいろいろな種類が手に入ります。これは砂苔。モフモフしていい感じ。一般的な庭では杉苔よりこちらがオススメ。ハイゴケも育てやすいです。

 

このように、一個人邸でも庭作りには時間がかかります。

モチベーションを維持しながら何代もかかって出来たのが名園と呼ばれるものでしょう。桂離宮しかり、兼六園、小石川後楽園なども何代目かで完成しています。

東京の清澄庭園は、元は江戸の豪商の屋敷跡の一部だそうで、荒廃していたこの邸地を買い取り庭園造成を計画したのが岩崎弥太郎です。しかしは弥太郎は庭作り半ばで亡くなり、それを弟弥之助が完成、次の久弥は風格を高め、関東大震災ののち東京都に寄付します。

1代目が自前で作り2代目が充実させ3代目が公共に贈るという見事なリレー。アッパレ!ですよね。3代続く財力もさることながら庭にかける気持ちね。

最後は話が大きくなり過ぎました (^^;

 

 

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