日光建物探訪②-大谷石の蔵

久しぶりに行動制限のない夏、とは言え、かなり自分を制しつつ、日光へ行って参りました。

「観光目線ではない」建物探訪記を3回に分けて綴ります。

(前回はコチラ→日光建物探訪①-那珂川町馬頭広重美術館

 

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宇都宮駅までは新幹線、そこからレンタカーであちこち巡りました。

その道すがら、頻繁に大谷石(おおやいし)の蔵を見かけたのです。産地とは知っていましたが、このように使われていることは初めて知りました。

母屋の離れに1棟たっているのが基本パターン。中には2棟建っていたり、かなり大きな蔵もあります。蔵の装飾や瓦の色もそれぞれで、次々現れる蔵を見ているだけでも、すごく楽しかったです。

よくよく見ていると、蔵だけでなく、敷地を囲う塀であったり、農業用ポンプ小屋、消防器具庫までもが大谷石だったりします。

レンタカーの助手席で、「あ、あの蔵カワイー」とか「あれ、凄く立派やわ〜!」とか叫びながら大コーフン状態の私。

ゆっくり見たいけれど、ドライバーの夫がなかなか止まってくれないので、撮影もままなりません。

中でも小マシに撮れたものをUPします。

 

正面は大体このようなデザインが多かったです。入口には下屋(庇)がついており、窓は2階正面に2つ、横にも1つ。その上は家紋かな?こちらの瓦の色は珍しい青でとっても可愛いと思った蔵です。

 

大谷石は火山灰や軽石岩片が固結して生まれた「軽石凝灰岩」で、栃木県宇都宮市北西部の大谷町付近一帯で採掘される石材です。

軽量で、調湿性に優れ、防火性も高い。おまけに柔らかいので加工が容易なことから建築資材として多用されています。

私は使ったことはありませんが、大谷石は好きな石です。素朴かつ柔らかな風合いにとても惹かれます。

 

道路から見えるのは裏側ばかり。同じ敷地に2棟も蔵がある!こちらは状態も良くて立派ですね。

 

大谷石の蔵は、明治・大正時代に建てはじめられ昭和初期に広まったようです。

建物の構造の一部である扉や窓も大谷石で、様々な彫刻が施されていました。

しかも必ず家紋や屋号などの印が付いています。

蔵とは分かりますが、洋館風でもあり、すごくお洒落な建物という印象を持ちました。

しかし、中には崩れかけた蔵や、空き家らしく荒れ放題の蔵も沢山あり、維持管理は大変だろうなと思いました。

蔵が大谷石なら、塀も大谷石というお宅も多かった。

 

市内にはこのような大谷石の蔵を改装したレストラン(ここ素敵!→「石の蔵」)やカフェがあります。

帰宅後に知ったことですが、宇都宮市では「大谷石蔵活用事業」で空き石蔵物件と借り手のマッチングなど色々な取り組みをされているそう。

この美しい蔵がこれから先も遺っていきますように、期待してやみません。

 

宿泊先のホテルの日本酒バーの内装。壁の一部に大谷石が貼られていました(矢印ところ)

 

行く先々で大谷石が目に付いて、「いいなぁ~」「素敵だなぁ~」「蔵、買って~」って連発していた私です。

大谷石のことをもっと知りたい方は、大谷資料館がおすすめです。私は時間の都合で行けませんでしたが、夏はヒンヤリしてて人気スポットらしいです。

 

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さて、折角なので、観光についてもサラッと。

メインは日光東照宮で、その付近の寺院仏閣もいくつか巡りました。(中には秘境みたいな神社も)

東照宮は修理を終えて間もないこともあり、とにかくあちこち金ピカで、「ほー」とか「はー」とか溜息ばかり。龍や妖獣の手の込んだ細工は、いくら見てもキリがない程です。

境内の石垣という石垣が苔むしていて、灯籠も素晴らしく、そちらも見所満載でした。

個人的に嬉しかったのは、御本社で、久しぶりに幣でお祓いをしていただいたこと、かな。お隣の輪王寺ではタイミングよく秘仏も拝ませていただきました。

 

日光東照宮の陽明門(別名、日暮の門)です。遠く樹々の間から金箔がキラキラと輝いているのが見えました。この細工には本当に驚きです。

 

それから華厳の滝。

ここに辿りつくまでイロハ坂というヘアピンカーブがいくつも重なる峠をドライブするのですが、スリル満点です。

華厳の滝は飛沫がすごいせいか、虹が出ていてとても綺麗でした。色々な角度で眺められるのが有難かったです。

 

華厳の滝。そのパワーに圧倒されます。イワツバメが気持ち良さげにヒュンヒュン飛びまくっていました。

 

虹が綺麗でした。(丸印のところ)見てるように撮れないのが残念です。

 

山の中で。これはイワジャシンかな?と思ったのですが、自信がありません。美しくて欲しくなるけれども、こういう場所では撮るだけね。

 

小さな滝や川もたくさんあって、それぞれに美しかった。

雨が多く常に湿っているので、様々な山野草が生き生きと育ち、目の喜ばせてくれました。

次回は日光建築探訪のラスト。ホテル編です。

 

 

日光建物探訪①-那珂川町馬頭広重美術館

久しぶりに行動制限のない夏、とは言え、かなり自分を制しつつ、日光へ行って参りました。

(ちなみに、帰宅後しばらくして受けたPCR検査は陰性でした。今のところ健康状態は良好です)

まずは新幹線で東京を経由し宇都宮へ、それからはレンタカーに乗り換え、日光東照宮など建物を探訪する小旅行です。

実はコロナ前に次の旅行先は日光と思っていたのです。あれから3年が経って、ようやく行けました。

観光地や温泉、地元の美味しいモノなど色々と楽しみましたが、ブログでは敢えて「観光目線ではない」建物探訪記を書こうと思います。

 

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栃木へ行くと決まって、東照宮の他に「絶対に行きたい」ところと言えば「那珂川町馬頭広重美術館」でした。

建築家の隈研吾さんが手掛けた美術館で、CMの撮影場所としても時々使われているので、ご存じの方もいらっしゃると思います。

ここは栃木県の観光スポットの中でも、かなりマイナーな場所みたいですが、隈さんファンで、美術館巡りが大好きな私にとっては、憧れの美術館。

隈さんの作品なら県内では他に「石の美術館 STONE PLAZA」最近では「宝積寺駅舎」などもあり、美術館なら藤城清治美術館、奈良美智さんのN’S YARDなど心惹かれる場所は多々ありましたが、限られた時間で一つとなるとここなんですよ。

 

憧れの馬頭広重美術館。正面です。関西から行くには相当困難な場所にあるため諦めていましたが、念願叶って来れました。山の中にあるのかと思いきや山裾。村の一角にあるという感じ。

 

こちらの展示は、栃木県さくら市出身の実業家 青木藤作氏収集による広重の肉筆画や版画をはじめとする美術品が中心です。

木版画は異なる版木を何度も擦り重ねて色や奥行を表現するもの。隈さんはこの美術館を設計するに当たり、地元産の八溝杉による格子(ルーバー)を使って、木版画の工程を建築化した・・・みたいなことを言われています。

2000年竣工とありますので数ある隈さんのルーバー作品の中でも初期の頃ではと思います。

詳しくはコチラ→ 隈建築設計事務所のサイト 馬頭美術館PROJECTのページ

 

ルーバーのレイヤーがつくりだす景色、陰

 

実際、行って見ると、想像していたよりもだいぶ小さな建物でした。

平屋で切妻の屋根、That’all。

思うにこの佇まいは、まるで神社のそれです。

景色の邪魔にならず、かといって溶け込み過ぎる訳ではありません。

存在感は物凄くある。

 

広いアプローチ。迫力の大屋根。奥の限られた開口部から見える庭が眩しい。色々と計算されているのを感じます。

 

余談ですが。

こんなに美しいアプローチ↑の目に付くところに、ド派手なピンクのどこでもドアみたいなものが置いてありました。画像左、ミュージアムカフェの入口付近です。(撮影の際、思わず見切ってしまいました)

これははたして展示なのか?SNS用なのか?実際20代らしきカップルが撮影に励んでいましたけど。

正直、悪目立ちしているとしか思えません。嫌悪感すら感じたけれど、こればっかりは人それぞれですしね。

自分をなだめてさらに真っ直ぐ進むと、庭へ出ます。

 

庭側から建物の裏を見る。CMではこの辺りによく車が登場しますよねー。

 

庭から見る。モノトーンの建築に色を添えるのは空と竹のみ。絵になるなぁ。

 

外観を色々な角度から堪能していると、あっというまに30分程経っていました。

流石に暑くなってきて、企画展「二つの百人一首 《小倉擬百人一首》と《百人一首之内》」を見ることに。

夏休みなのに全く混んでおらず、お陰で久しぶりの浮世絵をゆっくり堪能できました。

 

チケット買って展示室へ向かう廊下。この日の私は和モダンな馬頭広重美術館に合わせてストライプ&モノトーンコーデです。

 

内装にも地元の材。壁は烏山和紙、床は芦野石だそう。太鼓貼りの壁からもれる灯りが優しい。

 

縦格子の屋根は影も美しい。屋根と影のラインが、奥に目線を引っ張っていくような。

 

窓を覆うシャープな線は、広重の描く雨のよう。

 

庭は裏山を背景に砂利が敷き詰められ、竹が植えられているだけです。これまた神社の参道のようでもあり、お寺の方丈庭園のようでもあります。

おおきな「余白」として存在するこの庭は、中から見ると全く違って見えます。

窓にもルーバーがついていて、それを通して眺めると、ただの砂利の広場に先程見た広重の雨が降っているように見えます。また、屋根のルーバーはモダンな影を映し出し、それがまたレイヤーになっていて・・・と、色々な見え方が楽しめるのです。

建築と庭の素敵なつながり。なるほどです。

こんなに単純なフォルムの建築なのに、見所はたくさんあります。

ブログ読者様にもこの感じ、伝わったでしょうか。

宇都宮駅から1時間以上、だいぶ遠かったけれど、やっぱり来て見て良かったです。

次回は現地で見かけた大谷石の蔵について。日光観光の様子も少し書きます。