2年前に店舗前花壇の植栽のお仕事がご縁でお付き合いが始まり、ずっとご愛顧いただいている株式会社仁々木さま。
和菓子を中心に独自ブランドを立ち上げられ有名デパートなど全国展開されています。滋賀県内にも2店舗あり、守山市の近江工房店では、ディアガーデンが造園工事やその後のメンテナンスもさせていただいております。
そして本年度からは京都祇園本店の装花室礼業務も担当することになりました。
私はガーデンデザイナーだけど、植えるのも花を活けるのも同じように好きで、普段の暮らしに花を飾ることや年中行事の室礼は欠かせないものです。学びも同じように続けて参りました。苗や植木と同様に花材の仕入れ先も宛がありましたので、今回のご依頼も特に躊躇なくお受けしました。

「仁々木」さん祇園本店。花小路通りや八坂(神社)さんからもすぐのところ。2019年に店舗を改築された折に花壇の植栽をさせていただきました。
コロナ禍の現在、京都府は緊急事態宣言の対象地区となり、祇園の観光客は目に見えて激減しています。
そんな状況でも季節の花を絶やさないようにという社長様のお気持ち。重く重く受け止めて、足を運んでいただいたお客様のおもてなしに少しでもお役に立てるように精いっぱい頑張ろうと思います。
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祇園本店さんでは、店内入口と奥の2ヶ所に座るスペースを設けられています。花を飾る場所はそのあたりです。
一か所目は店舗入ってすぐ正面の壁。
ここは待合いスペースとなっていて、軽く腰掛けることが出来ます。座って見ると丁度いいところに掛け花があります。

さりげない花、掛け花。お店にはいると割とすぐ目に付く場所。カウンターに立つ店員さんにも見て頂けるようです。
こちらには、今回、木瓜と椿をシンプルに挿しました。
花器は真竹を薄く削いでのし広げ、熱を加えながら丁寧に曲げて作られたもの。新しいものですが、手触りがとても滑らかで、自然素材の温かみが感じられます。どこかモダンな佇まいがマブチ好みなのです。

冬は枝物がいい。凛とした枝振り、小さな花、そして膨らみかけた芽などは確かに来る春を思わせ希望を持てます。
2ヶ所目は店内奥のベンチスペース。花を飾るのにちょうどいいカウンターがあります。
そこに片口の器を花器に見立てて、春を予感させる小さな盛花を。
蕾のたくさんついたアオモジを伸び伸びと、中心には固く丸まったゼンマイを挿し、足元は瑞々しい青葉で埋めました。
「片口(かたくち)」とは、口縁の片側に注ぎ口がついた器のこと。小さなものから大きなものまでさまざまな形のものがあり、酒器として使ったり、お料理を盛ったり、ドレッシングの入れ物にしたり、色々と工夫次第で使えますが、私は花入れにしました。
もともと蓋つきだったので、可愛らしいし、愛想に添えています。
この器には、山野草一輪挿しても合いそうで、そのうちやってみたい。

ゼンマイは葉が開く前は動物のような毛に覆われて、植物というより何か不思議な生き物のよう。
社長様や店長様のご要望に合わせて、花材選びはもちろんですが、花器選びも全て任せていただいています。
器でも季節感は出るし雰囲気がかなり左右されるので、作る側としては任せていただけるのは大変有難いことです。
私は主にアンティークショップや骨董店を中心に色々と見て回り、古いものの中から、雰囲気の優しいちょっと面白みのある器を集めています。モダンなインテリアショップにも足を運び、お店の雰囲気に合えば新しい品でも仕入れます。
ブログでそんなお店の紹介も追々していきたいと思います。

花を活ける他、草盆栽も時々作り替えます。今回はスミレを植え苔を貼りました。

トクサの鉢植えは以前納品したもの。たまに水さえやれば良くて、年中緑を楽しめます。
これから毎月、活け込みと活け直しで何度かお訪ねする予定です。
さて来月はどんな風になるでしょうか?自分でもまだ分かりません。
また報告します。