新築戸建て住宅の造園・外構工事をお任せいただきました。
閑静な住宅街にあって、落ち着いた佇まいが印象的なお宅です。お施主様は、雑木の庭とオープンな外構をご希望され、1台分のカーポートと4台が停められるサイクルポートが必要とのことでした。
駐車場も全てコンクリートで固めるのではなく、出来るだけ緑を取り入れたいし、庭の中に野菜を育てるスペースも欲しいとおっしゃって、植物がお好きな様子が伝わって参ります。
外構設計で気をつけているのは動線です。毎日使う場所ですので、使いにくさは暮らしにくさに直結するからです。
使いやすさは人それぞれですので、ゾーニングの段階で、動線が違うプランを幾つか作成しました。お施主様が一番良いと思われたのが現行のプランです。こちらのお宅では自転車を使われることが多く、新聞も取られているので、玄関〜ポスト〜サイクルポートの動線を一つにして出来るだけ短くするのが、一番使いやすいようでした。
当初案では、門柱は玄関に向かって右側の脇(現在ポストのある位置)に建てる予定でした。しかしそれですと、駐輪位置によってはインターホンが押しづらくなる、かといってサイクルポートの位置も動かせないため、ポストと分けて、インターホンと表札のみの門柱を別に設置することになりました。
門柱は縦格子フェンスのデザインに似せたオリジナル品です。同じメーカーの汎用材を使っておりますので、色や質感を合わせることができました。玄関先にそっと添えた感じ、このさりげなさがポイントで、控えめな結界とでも申しましょうか。茶席で扇子を前に置いて挨拶をすることがありますが、その扇子を思わせるような門柱です。
カーポートとサイクルポートは、同じメーカーの同じデザインを選択。屋根の勾配も前下がりで統一し、それぞれの屋根の端が出会う場所は高さを揃えるように施工。出来るだけスッキリと一つに見えるような工夫をしました。
あとは細かいことですが、雨樋を目立たない位置に取り付けたり、配管を繋いで雨水を垂れ流しにしないなど、色々配慮して施工しております。
また、庭側に部屋から段差なしで繋がる人工木のデッキも設けられました。ご希望されたサイズは奥行き1mほど。デッキの色が、室内の床や軒天とよく合っているため、縁側のようにも見えて、ほっこりとした空間となりました。
続いて造園工事です。
樹木はお施主様と植木畑に行って、たくさんある中からこちらの庭にあう木を一緒に選んだもの。
アオダモやイロハモミジ、ヤマモミジ、ヤマアジサイなどの落葉樹たちは、季節ごとに姿を変え、花を咲かせて目を楽しませてくれます。一方、ヒメシャリンバイやプリペット、フェイジョアなどの常緑樹は、安定的な眺めを作ってくれ、目隠しの役割があります。
木の高さや葉の質感はそれぞれ違いますが、それが一体となって自然な塀になり、家を守っています。
この自然な塀は、入ろうと思えば入れますし、中を覗こうと思えば覗けてしまうかもしれませんが「入らないでね〜」と柔らかく主張している感じです。ブロック塀と違って、風や木漏れ日も入ってくるので、気持ちが良いです。
芝生が飽きたら、剥がして植栽スペースを増やし、木をランダムに植えて、雑木林のようにしても素敵です。
最後にご紹介するのは、和室前に設けられた坪庭スペースです。
サイクルポートの奥にあるため、塀を建てて、サイクルポートや自転車が見えないようにしています。このように庭の背景がしっかりしていると、小さなスペースでも雰囲気を作ることが出来ます。
ソヨゴ、カンツバキ、ヤブコウジなど、青々とした緑を年中見られるような植栽です。冬、だいたいクリスマスの頃でしょうか。赤い実がなる様子も可愛らしいです。
造園工事の折は、お施主様ご一家も参加されて、ワークショップのような雰囲気でワイワイ賑やかに。
植え方、木の向きや根(根鉢)はどのくらいの大きさなのか、土壌改良剤はどんなものを使っているのか、また、普段のお世話はご自分で出来るように、水やりや剪定のコツなどもお伝えします。
ご家族で、これまで育てておられた宿根草や野菜、来春に向けてチューリップの球根を植えられたりするご様子は、ほのぼのと心温まる光景で、見ていてとても幸せな気持ちになりました。植物やお子様の健やかな成長を願って止みません。
SPEC
- 竣工 2023年11月
- 施工場所 滋賀県守山市
- 施工内容 造園、外構